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フェイクニュースの対処法

「信じてはいけない」(平和博著、朝日新書)はアメリカのフェイクニュースの実情を知るのに有益でした。

イギリスの調査機関「ユーガブ」と「エコノミスト」が2016年にアメリカ大統領選に関連したフェイクニュースの調査をしたそうです。

オバマ大統領はケニア生まれだ」→事実と考える人36%、事実でないと考える人64%。

アメリカが見つけることはできなかったが、イラク大量破壊兵器はあった」→事実と考える人53%、事実でないと考える人47%。

上の二つは完全な陰謀論なのですが、これほどまで事実と考えている人が多いようなのです。言うまでもなく、トランプ支持者に限ると、事実と考える人の率は跳ね上がります。実際、「オバマケニア出生説」についてトランプは当選前に次のような発言をしています。

オバマケニアにいる祖母が言ったんだ。『あの子が生まれたのはケニアよ。私はその場にいて生まれたのを見ているんだから』と。今、彼女はそれをテープに録音している。もうすぐ公開されるだろう」(MSNBCのインタビュー)

「出版社の人間が3日前に来て言ったんだ。オバマが書こうとした本の概要を書きとめたものがあるんだが、その中でオバマは、自分がケニア生まれでインドネシアで育ったと喋っているんだ」(デイリービーストのインタビュー)

トランプはこんなとんでもないフェイクニュースを垂れ流している一方で、自分を批判するメディアについては「フェイクニュースメディアは私の敵ではない。アメリカ人の敵だ」と言っています。

洋の東西を問わず、フェイクニュースは右派寄りの意見ほど好まれます。だから、フェイクニュースを流して、広告収入を得ることで金儲けしている連中は過激な排外主義の意見を書き込み続けます。そんな連中はアメリカにももちろんいますが、なんとマケドニアジョージアといった外国にもいるそうです。平均月収が400ドル程度の国だと、フェイクニュースの広告収入が魅力のようです。そんな彼らは「良識的な民主党寄りのフェイクニュースも作ってみたが、ほとんど見てくれない。過激な共和党寄りのフェイクニュースの方がずっと閲覧数を増やせる」と異口同音に言うそうです。

これでは衆愚政治そのものです。とはいえ、アメリカ政治をそう批判しても、日本にも石原慎太郎という問題発言ばかりする政治家がいたではないか、と言い返されるのかもしれませんが。

ポピュリスト支持者の本当の敵であるグローバリズムの弊害の解決方法」に書いたように、下層大衆は自分の生活を苦しめている金持ち(トランプ)を支持しています。トランプを応援すればするほど、自分の生活が苦しくなるのに、それに気づいていないのです。本当にバカです。

だから、フェイクニュースの対処法として、「投票価値試験」を提案します。フェイクニュースの真偽テストをして、嘘を事実と誤認している人の投票価値を、その分だけ下げます。フェイクニュースに騙されるほどのバカは政治に参加する能力がないとみなし、参政権を制限します。

誤解してほしくないのは、参政権を一切認めないわけではありません。間違った政治知識の分だけ減らすのです。また、参政権以外の基本的人権を制限するわけではありません。

現在のように無知蒙昧な人でも政治知識豊富な人でも、平等に投票権を与えるべきではないでしょう。上記のアメリカの例のように、無知蒙昧な人たちに政治を任せても、無知蒙昧な人たちのためにもならない、と私は推測します。