未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

理屈だけで結論は得られない

1973年オイルショック以来のトイレットペーパー不足が2020年2月~3月の日本で発生しました。もともと買う予定のなかった人が買えなくなったら困るという理由で買いだめに走りました。買いだめしたバカは買い占めした奴を批判して、自分が情報に流されるバカであり、かつ品不足の共犯者だとの認識がないのは50年前と変わりありません。

もっと驚くのは「買いだめ(買い占め)するのは合理的な行動だ」と臆面もなくネット上で自説を展開する者がいることです。危機管理やゲーム理論だとか、私には意味不明な理屈を用いて、「やむを得ない」「当然である」と正当性を主張しています。ネット上でそのような意見に賛同する人は「トイレットペーパーを買ってしまった自分」を正当化してほしいのでしょう。

この例だけでなく、私も理屈っぽいのでよく思いますが、どんな仮説も理論で正当化することは可能です。ある問題に理論だけで正しい結論が常に得られるとは限りません。裁判でどちら側にも弁護士がつけるように、世の中のほとんどの問題は理論や理屈のみでは決まりません。多くの問題の決着には理論や理屈を越えた価値判断が必要です。だから、価値判断が間違っている人、社会道徳や倫理観がおかしい人だと、必然的に上記のような間違った結論、おかしな結論を出します(だから、裁判官には法律知識よりも社会道徳や倫理観が本来要求されるべきです)。

これは当たり前のことですが、そのことを認識していない人がいるようだ、と思ったので、あえてここに書いておきます。

また、「トイレットペーパーの買いだめは止められない」と信じている方のために書いておきます。「トイレットペーパーの買いだめを防ぐためにはどうすればいいか?」の一つの解決策は「配給制にする」です。そんな時代遅れな方法をとらなくても「資本主義の矛盾は金銭取引を完全公開しないと解決しない」で提案した金銭取引のネット上の完全公開で、すぐに解決します。「トイレットペーパーを買いだめする公序良俗に反する奴」が誰なのか、ネット上に公開されるからです。

ほとんどの現代人は「そんな相互監視社会は生きづらい」と感じるでしょうが、それは「誠実な者が得をして、不誠実な者が損をする社会」であると知るべきです。「大衆の不安心理を止めることはできない」と言う人ほど、金銭取引の完全情報公開社会のメリットを知るべきだと思います。