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日本は医師過剰である

日本は医師不足とニュースでよく見る現在からは信じられないかもしれませんが、2007年まで日本は医師過剰と公的に判断されていました。医学部の1年あたりの定員数は81年~84年の8280人から減少の一途を辿り、2007年には7625人にまで減った事実があります。しかし、2004年に始まった新臨床研修医制度で医師の医局離れが始まると、大学病院ですら医師不足との「錯覚」が起こり、現在まで医学部の定員増は続いています。

日本が医師不足である根拠として、よく使われるデータが下のOECDの人口1000人あたりの医師数です。日本はOECD平均よりも低いそうです。

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上のデータで、イギリスは、日本ほどではありませんが、OECDの平均値より医師が少ないと示されています。そのイギリスで、2018年にAIのおかげで4万人の患者の40%が受診をやめたとのニュースがありました。1万6千もの受診がなくなってしまったわけですが、だからといってイギリスの死亡率が高くなった、という話は聞きません。もちろん、そのソフトの言う通りに受診せずに死んだ人も確実にいたでしょうが、おそらく、そんな人は受診して一時的に回復できても、そう遠くないうちに亡くなったと推測します(日本なら1億人に1人でもそんな事件があれば、ニュースになりそうですが)。

以前にも紹介した下のデータの通り、イギリス人の年間受診回数は日本の半分以下です。そのイギリスですら、40%もの受診が不要と判断されて、大きな事件は起きていません。まして日本ならイギリスの倍は不要な受診が起こっているはずです。

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以前にも書いた通り、世界全体の平均寿命は72.0才です。上のグラフで、日本の7分の1未満しか医師がいないインドネシアでさえ、平均寿命は69.2才です。発展途上国で、多くの子どもたちが下痢や感染症で亡くなっていくのは、昔の話です。たとえ医師がいないところでも、キレイな水と塩分と食料さえあれば、大抵の人は簡単に死なないと科学的に分かっています(世界中で最も多くの生命を救ったのは、薬ではなく、経口補水液です)。それは日本だって同じです。

未来の人なら、上の平均医師数のデータを「昔は医師過剰だった証拠」として使うかもしれません。