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母子手帳と女性手帳

国際医療について少しでも学んだことのある方なら、母子手帳が日本最高の国際医療貢献度を誇ることは知っているでしょう。私も国際医療に関する集会で母子手帳の自慢話を何回聞いたか分かりません。

母子手帳は日本発祥で発展途上国中心に世界中で普及し、わずかな経費で新生児・乳児の公衆衛生に画期的な効果があるようです。国際医療に関心のない方なら全く知らないようなので、定量的にどれくらいの効果があるのか、誰か統計的に示してほしいです。また、新生児・乳児医療への効果は間違いないので、日本人を含めた国際医療に関係ない人たちにも、母子手帳国際貢献を広報すべきでしょう。

少子化対策として提案され、あっという間に話が立ち消えになった女性手帳も、上記のような母子手帳の成功体験から生まれてきたに違いありません。賛否両論ではなく、否定的意見しか私は知りませんが、女性手帳を配布していたら、いい効果も生まれていたと私は考えています。下のような三十代後半から流産率が加速度的に上昇する統計グラフを見せて驚く女性に、私は10人以上会っているからです。

 

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これは学歴のない女性に限りません。弁護士の女性でさえ、上のグラフを見て「本当ですか」と心底ショックを受けていました(ちなみに、彼女は三十代後半でした)。そういう女性を多く見ていると、「なんでこんな重要なことを知らないままでいたのか」と、どうしても思ってしまいます。

私は医療従事者なので、下のグラフのように、女性ほど極端な変化ではないものの、男性の年齢が上がると流産率が上がることも知っています。さらにいえば、男性の年齢が上がると、やはり妊娠率は下がり、奇形率は上がります。だから、なにがなんでも子どもがほしい私は、同年代の女性との結婚となると、大変申し訳ないが、非常に躊躇してしまう、と正直に伝えています。

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保守系自民党少子化対策として女性手帳なんて提案すると、戦時中の「産めよ増やせよ」政策を思い出させて、どうしても批判されてしまうのでしょう。しかし、少子化がここまで深刻化している現在の日本なら、多少の批判があっても、少しでも効果があると思うのなら、強行すべき少子化政策はあるはずです。女性手帳の批判が殺到した時、「国家のためではなく、自分のため、将来の子どものため、少子化対策を推進します」「女性だけに少子化の責任を負わせるつもりはないので、男性手帳も配布します」「批判するのなら、他に有効な少子化政策はあるんですか」くらいは、政治家や官僚たちに言ってもらいたかったです。