未来社会の道しるべ

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少子化原因の分析

「女は別れた男のことをすぐ忘れるが、男は別れた女のことをいつまでも忘れない」

女は切り替えが早いのに男は未練たらしい、という批判的な意味で言われることが多いように思います。それとほぼ同じ意味で使われる「女は過去の男を上書き保存、男は過去の女をフォルダ保存」もよく聞きます。この仮説は私のこれまでの人生経験とも合致しています。

私には理解しづらいことですが、40才前後になって、もう理想的な結婚が難しい状態になっていても、(少なくとも私の周囲にいた)女性はほぼ全員、恋愛について後悔していません。このような恋愛観を持てる女性は、どこまで恵まれているのでしょうか。ふったことはあっても、ふられたことはないのでしょうか。中年以上の女性は非正規の仕事くらいしかないことを知らないのでしょうか。十分な挑戦も決断もしなかったのに、結婚できないのは自分のせいでなく、「タイミングが悪かった」と運のせいにしている女性があまりに多いです。

当たり前ですが、恋愛について後悔しない女性は、男性への要求が高くなります。社会的ステータスの高い男性がアプローチしてきて、女性がそれを受け入れないうちに、その男性が他の女性と結婚したのに、自分がふられたとは思っておらず、その男の学歴や職歴を自慢話のように語る30代女に会ったことがあります。「あのとき是が非でも受け入れておくべきだった」と後悔していないので、彼と同等か彼以上の男性でないと、彼女は結婚に応じないでしょう。しかし、時間経過に従って、女性の価値が下がることはあっても、上がることは通常ありません。一度アプローチしてきた男性以上の男性が現れる可能性は低いでしょう。それにもかかわらず、多くの女性は恋愛について後悔も反省もしません。

そういった女性たちに結婚願望がないわけではありません。強い人も多くいます。しかし、男性への要望が高すぎて、それに見合う男性なんてまずいない、あるいは、それに見合う男性は自分など相手にしない、そんなことに気づいていません。さすがに40才前後になるとそれに気づきますが、それでも男性への要望を十分に下げません。下げるくらいなら、結婚しないことを選択します。たとえ結婚しなくても、さらに非正規雇用で低収入でも、「オリーブの罠にみる日本女性の美意識と少子化原因」に書いたように、女友だちさえいれば、(助けてくれる親戚がいるうちは)大きな不満のない人生が送れる時代に日本は既になっています。このような傾向が未婚化と少子化の原因になっていると思います。

これを解決するためには、「昔のように独身女性が生きづらい社会にする」「男性が女性の要望に見合うように努力する」「女性の高すぎる要望を早めに下げる」などがあるでしょう。「昔のように独身女性が生きづらい社会にする」ことは現実的でも、理想的でもありません。「男性が女性の要望に見合うように努力する」ことは、上記のような理由がある以上、どんなに努力しても相対的に不人気の男性が結婚できない状況は変わらないので、これだけで結婚率が上昇するとは思えません。「女性の高すぎる要望を早めに下げる」ことが最も理想的だと思います。そのためには「妙齢の女性は男性への要望が高い」ことを自覚させるべきでしょう。

「仕事と家族」(筒井淳也著、中公新書)に少子化の原因(≒未婚化の原因)として、「女性の男性への要望が高いこと」をあげています。それをもっと周知すべきだと考えます。