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なぜ東京オリンピックはロンドンと同じ失敗をしているのか

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(参考)

ロンドン大会の立候補ファイルと実際の経費を比較すると、「組織委」は3,000億円から6,000億円、「開催都市・国等」は5,000億円(ソフト経費はゼロ)から1兆5,000億円(ソフト経費は7,700億円)、「合計」は8,000億円から2兆1,000億円となっている。

なお、「組織委」の実際の経費6,000億円には、政府から注入された公的資金2,000億円を含む。

(1£=180JPY:2004年~2012年の平均)

 

東京オリンピック公式サイトからの引用です。税金の無駄批判をかわすため、「ロンドン大会よりはマシ」という数値をわざわざ載せています。

これを見て気になるのは、ロンドン大会にしろ東京大会にしろ、ソフト経費が当初の予定より遥かにかかっていることです。東京大会の予算でいえば、ソフト部門合計で4000億円程度の見積もりが、8200億円と倍増しています。たった17日間のオリンピック、13日間のパラリンピックで、なぜこんなにソフト費用がかかるのでしょうか。

気になったので、2020年東京大会決定前に出版された「オリンピックと商業主義」(小川勝著、集英社新書)で、過去のオリンピック収支を調べてみました。

1984年のロサンゼルス大会では54億円程度しか警備費がかかっていないようです(うち38億円は観光客からの支払)。それも含めた総支出は1339億円です。1996年のアトランタ大会では会場建設費573億円を含めた総支出は1996億円です。2000年のシドニー大会では、競技施設が税金で建設されて予算外になっているので、それを除いた総支出だと1108億円になります。ハード費用(競技施設建設費用)を除けば、ロサンゼルス大会、アトランタ大会、シドニー大会は、東京大会のセキュリティ費用の1600億円だけでも開催できていました。2012年ロンドン大会までに、どうしてオリンピックのソフト費用がここまで高騰したのでしょうか。どう考えても、物価や為替の影響だけではありません。一体、なににどれくらい金を使うようになったのでしょうか。また、ロンドン大会で莫大なソフト費用が予定外にかかっていたのに、どうして東京大会の当初の予算ではその費用が入っていなかったのでしょうか。

私はその答えを知りたかったのですが、調べきれませんでした。もし知っている方がいたら、下のコメント欄に情報源も含めて書いてくれると助かります。

ところで、「オリンピックと商業主義」(小川勝著、集英社新書)を読めば、オリンピックは莫大な費用がかかるものでもなく、赤字で運営するものでもないことが分かります。その本を元にした記事を次に書きます。