未来社会の道しるべ

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投票価値試験の公平性

投票価値試験の実例

問1、次のうち、ヨーロッパにある都市はどれか?

ア、ニューヨーク  イ、ロンドン  ウ、ロサンゼルス  エ、シカゴ  オ、デトロイド

問2、次のうち、PM2.5とはなにか?

ア、自動車  イ、携帯電話  ウ、コンピューター  エ、条約  オ、粒子状物質

問3、次のうち、現在の中国の国家主席は誰か?

ア、毛沢東  イ、習近平  ウ、李承晩  エ、朴槿恵  オ、鄧小平

問4、次のうち、最も大きい数はどれか?

ア、三分の一  イ、20%  ウ、0.09  エ、1÷8  オ、1割

問5、次のうち、平成28年度の日本の国家予算に最も近い値はどれか?

ア、約1兆円  イ、約10兆円  ウ、約100兆円  エ、約1000兆円  オ、約10000兆円

 

こんな問題すら正解できない人に、投票権を与える価値がないのは、多くの方に納得してもらえるのではないでしょうか? 問1でロンドンがヨーロッパで、他の選択肢は全てアメリカにあることも知らない人に外交に関する決定権を与えるべきですか? PM2.5を車の名前と勘違いしている人に環境問題を考える基礎ができていると思いますか? 中国の国家主席を既にこの世にいない人や韓国人と混同する人に政治が語れますか? 問4のような初歩的な算数を理解しない人が経済問題を扱えますか? 日本の国家予算を桁違いで間違う人に税金の使い道をあれこれ言う資格がありますか?

しかし、こんな簡単な問題ですら、日本人有権者の半数以上が全問正解できないことは、よほど世間知らずの人でない限り知っているでしょう。それどころか、何百万人もの有権者は上のような問題はもちろん、どんな試験であっても0点をとる可能性があります。認知症の高齢者が何百万人も日本にいるからです(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000065682.pdf)。ここで高齢者の実態を知らない人なら、「認知症患者は投票自体できないから、議論の対象にしなくていいだろう」と思うかもしれません。しかし、字もろくに書けない高齢者にすり寄って、自分の支持政党に投票させたりする人は現実にいます。医療、介護、福祉での経験がある人なら、選挙期間になると、今まで一度も見舞いに来ていない遠い親戚が急に現れて、投票場まで認知症の高齢者を連れていく様子を見たことがあるはずです。投票価値試験が実施されれば、そんな理不尽な選挙活動は撲滅できるでしょう。

なお、投票価値試験は上にあげたような簡単な問題だけにする必要はありません。当該選挙の争点になっている問題、各候補者の公約についての問題はあった方がいいでしょう。試行錯誤しながら、より適切な投票価値試験を作り上げていくべきです。すぐに完璧にならないでしょうが、止めずに続けていけば、日本人のほぼ全員が公平と考える投票価値試験は必ず作れると私は確信しています。

なぜなら、日本人のほぼ全員が経験する入学試験(入試)は、批判を受けながらも、概ね公平な選抜方法と受け入れられているからです。多くの人にとって、自分の投票で結果があまり変わらない選挙より、高校や大学の入試の方が人生を大きく左右するはずです。しかし、学力試験は高校や大学の選抜方式として明治以来100年以上日本に定着しており、それが不公平だという声はほとんど聞かれません。面接などの推薦試験もここ30年ほどで導入されていますが、主観によって評価が分かれる面接よりも、客観的に評価を下せる学力試験の方が日本ではまだまだ有力です。歴史上、投票価値試験のようなシステムが失敗した例もあるかもしれませんが、現代の日本でなら成功できると考えます。