未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

でっちあげ血液鑑定人の古畑種基

戦後の冤罪事件を調べたことのある人なら、古畑種基と次の記事で紹介する紅林麻雄は嫌でも記憶に残るでしょう。 日本の冤罪事件がどれほどあるか私は知りませんが、世間で知られるほどの冤罪事件になれば明治から数えても100に満たないでしょう。そのうち一…

狭山事件の非合理的な結論

前回の記事の続きです。 石川一雄は弁護士を全く信用せず、一方で、「10年で出す」と嘘をついた長谷部警部を信用していました。にわかに信じられないことですが、一審で死刑判決が出ても、長谷部警部からの手紙が来ていたせいか(もちろんその手紙には裁判の…

狭山事件での警察の許されざる嘘

これまでの記事にも書いたように、日本の冤罪事件は、容疑者の自白が異常に重視されて生まれているものが少なくありません。しかも、その自白が、検察や警察による身体的、精神的虐待によって生じていたりします。狭山事件では身体的および精神的虐待だけで…

反省していた犯罪者を開き直らせた検察の不正義

前回の記事の続きです。 熊谷男女4人殺傷事件の尾形が裁判後に開き直った最大の理由は、警察や検察や裁判官の不正義です。 「日本では自白が作られる」に示した通り、本当に残念ですが、日本の検察は調書を捜査側の好きなように作成します。この事件で、尾形…

死刑よりも反省し、被害者に償うべきでないのか

下は熊谷男女4人殺傷事件で死刑が確定した尾形英紀の手紙で、「絞首刑」(青木理著、講談社文庫)からの抜粋です。 俺の考えでは死刑執行しても遺族は、ほんの少し気がすむか、すまないかの程度で何も変りませんし、償いにもなりません。俺個人の価値観から…

死刑により罪が償えるのか

前回の記事の続きです。 1979年~1983年の半田保険金殺人事件で、被害者の兄である原田は「死刑以外に考えられない」と一審で発言しています。原田には、弟の死後に保険金1400万円が支払われていました。しかし、犯人の長谷川の逮捕後、弟が交通事故死でなく…

被害者が死刑よりも望むことはないのか

先進国の中で、日本は人権意識の低い国です(断定します)。その代表例として、しばしば挙げられるのは死刑が残っていることです。死刑を残している先進国はアメリカと日本、そしてシンガポールと台湾くらいです。韓国ですら事実上死刑は廃止されています。 …

拘置所の精神科医官が加賀乙彦みたいな奴ばかりでないことを願う

前回の記事までに書いたように、「教誨師」(堀川恵子著、講談社)は批判したいところもありますが、全体としては素晴らしい本でした。一方、「死刑囚の記録」(加賀乙彦著、中公新書)はひどい本でした。特に著者である加賀乙彦の人間観、社会観が拙すぎま…

日本のジャーナリストはなぜ取材相手を必要以上に擁護するのか

以前も指摘したことですが、日本のジャーナリストは取材しているうちに、取材相手に抱き込まれ、社会良識を捨ててまで(本人はそう自覚していないでしょうが)取材相手を尊重することが少なくありません。「教誨師」(堀川恵子著、講談社)の著者も同じです。…

教誨師の許されざる失敗

1960年代、田中伊三次という法務大臣は大量の死刑執行をしたことで有名です。彼についての話題が教誨師の渡邉と、ある死刑囚の間で交わされました。 死刑囚「先生、あの田中という大臣はとんでもない男ですね。いくら死刑囚だって、虫けらを殺すんじゃあるま…

加害者なのに心は被害者

「教誨師」(堀川恵子著、講談社)からの抜粋です。 死刑事件の加害者である死刑囚には被害者的な恨みにとらわれている者があまりに多く見受けられた。幼い頃から家や社会でしいたげられ、謂れのない差別や人一倍の不運にさらされて生きてきた者が圧倒的に多…

男性の性欲

「教誨師」(堀川恵子著、講談社)は男性の性欲を肯定的にとりあげています。 健康的な男性は全員、性依存症とも呼べるほど性欲が強い、と私は考えています。少なくとも私自身は性依存症と診断されても仕方ないほど、性欲が強いです。もしこの性欲がなければ…

三鷹事件の竹内景助と教誨師

三鷹事件は代表的な冤罪事件です。誰が考えても竹内景助の単独犯の可能性はゼロに等しいのに、竹内は死刑を宣告されます。しかし、誰もが冤罪だと分かっているため、最高裁の死刑確定後、どの法務大臣も死刑執行しないまま、竹内は獄中で12年間過ごした後、…

人間誰しも悪魔のささやきに身を委ねる機会がある

「教誨師」(堀川恵子著、講談社)は性格(話し方や立ち居振る舞い)のいい例外的な死刑囚ばかり紹介しています。その筆頭で紹介されている死刑囚が山本勝美(仮名)です。 1961年冬、二人の男が中野刑務所を白昼堂々と脱走します。脱獄犯は刑務官の頭をバー…

教誨師

国際的な定義として、苦痛には4種類あるそうです。身体的な苦痛、精神的な苦痛、社会的な苦痛、霊的な苦痛です。身体的な苦痛と精神的な苦痛は直感的に理解できますし、社会的苦痛は貧困や差別などがあたると言われると、理解できます。しかし、霊的な苦痛と…

佐世保小6女児同級生殺害事件の犯人は発達障害なのか

犯人の少女は学校で友だちが何名もいて、先生にも暗いという印象を与えず、家庭内でおとなしく、複数の交換日記のグループに入っていました。この少女が社会的なコミュニケーション能力に問題のある発達障害なら、発達障害でない人の方が少数派になるでしょ…