未来社会の道しるべ

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持続化給付金批判

既に借金だらけの日本にもかかわらず、コロナ禍でばら撒き政策が大盤振る舞いになっています。とりわけ、批判を浴びているのはgo toキャンペーンです。「Go toキャンペーンは税金のばら撒きだけでなく、コロナもばら撒きしている」「コロナ感染対策を訴える一方で、観光産業と外食産業を応援するなど、アクセルとブレーキを同時に踏むようなもの」と批判ばかりされています。確かに、制度設計の杜撰さはひどすぎます。「どんなに急いでいたとしても、先進国の日本で、どうやったらここまで穴だらけの政策になったんだ」と私も何度も思いました。特に事務委託費の異常な高さは嘆息する他ありませんでした。本来ならゼロにすべきものを、ここまで高額にしてしまうのは、官民の癒着もありますが、日本社会のIT化の遅れのせいなのですが、それに気づいている日本人はどれくらいいるでしょうか。

ただし、今回注目したいのはgo toキャンペーンではありません。その批判は他の人がしてくれているからです。税金として無駄になった額からすれば、go toキャンペーンよりも3倍以上注目されるべきなのに、go toキャンペーンの3分の1以下しか注目されていない問題です。

持続化給付金です。Go toキャンペーンの総予算が1兆6794億円ですが、持続化給付金の予算は既に5.3兆円です。持続化給付金は、「コロナ禍で、いずれかの月に収入が前年比で半減以上」に落ち込んでいれば、中小企業で200万円、個人事業主で100万円も受け取れます。

今朝の朝日新聞によると、中小企業庁が把握する日本の中小企業と個人事業主の数は358万、農林水産省が把握する中小企業と個人事業主の数は約130万、合計490万程度のはずなのに、11月23日時点で380万件も給付しています。東京商工リサーチのアンケートによると、収入半減以下になった中小企業の割合は、最も高かった5月ですら、20%だったにもかかわらず、です。

不正受給が横行していることは間違いないでしょう。その不正は徹底して追及すべきです。そのためにこそ、莫大な事務委託費を使ってほしいです。しかし、問題は不正受給だけではないようです。

今朝の朝日新聞には、不正受給が横行していることを考慮しても、この給付件数は高すぎると書かれています。つまり、日本にある中小企業数と個人事業主の総数を、日本政府が把握できていないからこそ、こんなにも給付数が増えている、と朝日新聞は推定しています。無駄な事務処理を国民に要求している世界でも有数な国家のくせに、日本政府は日本の全体像を正しく把握できていないのです。だから、持続化給付金の予算が3度も増額されているのです。正しい統計がないのなら、正しい政策など打てるはずがありません。

以前の記事にも書きましたが、ある組織の統計の質は、その組織全体の質を左右します。私の予想ですが、1980年代、なにごとにも緻密な日本は統計先進国だったかもしれませんが、現在、日本は統計後進国になっているでしょう。西洋の先進国にもだいたい抜かれているでしょうし、中国、韓国、シンガポールなどのアジアの先進国相手だと周回遅れになっているはずです。

朝日新聞も「ハンコだけ廃止しても、中身を変えなければ、事務処理は軽減しない。これではハンコ業界イジメになってしまう」などとハンコ業界の太鼓持ちみたいな記事を書かずに、「ハンコ廃止は当然徹底して、さらにネットで全ての公的事務処理ができるように改革を進めるべきである」と改革派新聞らしい意見を主張してほしいです。

以前から私が提案している全ての金銭取引の原則ネット公開さえ実行すれば、上記の問題も全て解決するのですが、そのメリットを多くの日本人が理解する日は、私が生きているうちに来るのでしょうか。