未来社会の道しるべ

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帝王切開で不妊が増える

タイトルの知識は医療者なら当然持っているものだと私は思っていましたが、「そんなことはない」と否定する産科医がいて、唖然としました。産科看護師はもちろん、助産師すらも、こんな基本的な知識を持っていない人ばかりで、愕然としました。こちらのガイドラインにある通り、帝王切開は自然分娩と比べて、不妊が46%も上昇し、死産が123%も上昇します。

下のグラフの通り、平成からの20年間で帝王切開率は2倍に上昇しています。高齢出産が増えたとはいえ、ここまで増えるのは、不必要な帝王切開が増えたとしか考えられません。

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帝王切開率が上昇しているのは世界的な傾向で、西洋では自然分娩できる妊婦にまで金儲けのためか、病院が「帝王切開にしますか?」と提案するそうです。WHOは帝王切開率を10~15%にするように勧告まで出しています。帝王切開は母体への悪影響が大きいからです。

先日、私の妻が初産にもかかわらず、予定日前に帝王切開を提案されました。理由は「胎児の頭が大きい」ためです。確かに頭位は1.2SD(偏差値62)と大きかったのですが、母体の骨盤が大きければ、なんの問題もありません。しかし、母体の骨盤の大きさは調べてすらいませんでした。それで次の妊娠が難しくなる帝王切開を提案するなどありえない、と思い、私も妻の次の受診に同伴しました。X線で調べてみると妻の産科真結合線の大きさは16.5㎝(ただし、この産科医は破滅的なヤブ医者で、実際は解剖真結合線を測っていました)もあり、児頭骨盤不均衡には全くあてはまりません。これで帝王切開の話は流れる、と思ったら、今度は児頭があまり下がっていないこと、GW連休中になにかあったら麻酔科医がいないことを予定帝王切開する理由にあげてきました。

(なにかあったら麻酔科医がいようがいまいが、帝王切開するだろう。麻酔科医がいないくらいのリスクは、こちらで受けるよ。なにより、子どもはずっと順調に大きくなってきたし、心拍数は安定しているし、体動は十分ある。帝王切開になる確率そのものが低いから、そんな心配する必要性も低い。それよりも帝王切開して、次の子どもが生まれないリスクの方が遥かに心配だ)

そう思いながら、「帝王切開すると、次の子どもが生まれないかもしれないので、心配なんです」と告げると、「そんなことはない」という信じられない返答が来たので、この記事を書くことになりました。

私が「海外ではこうだ」という話をすると、その産科医は「海外のことは知りません。私の経験からはそうです」と平然と言ってのけました。医学は科学です。エビデンスレベルで専門家の意見は最低ランクの6です。海外のエビデンスレベル2bより、自分の経験を優先するなら、その人の医療は科学ではないので、医療行為をする権利はないと私は思います。

ところで、その50代の女医が帝王切開の待てるタイムリミットとして指定したのは、妊娠41週6日でした。正期産の最終日までに自然分娩できなければ、帝王切開すると言ってきたのです。これも世界的な傾向ですが、産科医が過期産を必要以上に恐れているせいで、過期産は減少しています。下のグラフでは、日本での過期産が3%となっていますが、海外では7~10%程度で、もともと日本では過期産を無理矢理抑制していました。最近はさらに帝王切開を使ってでも、少なくしています。f:id:future-reading:20190503093538j:plain

しかし、早産と比べれば、過期産はそれほど危険なお産ではありません。

 

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まして、日本のように、出産予定日前後から1週間に何回も母体と胎児の検査をしているのに、42週程度で帝王切開する必要性は低いでしょう。子宮収縮薬を使ったり、バルーンで子宮口を広げたりして、自然分娩を誘発する方がよほど安全です。

あまり知られていないかもしれませんが、産婦人科は外科系です。外科医たちは自覚がないようですが、どうしても外科医は手術を選択しがちです。「専門家の言うことだから」と帝王切開を選択して、その後に子どもができにくくなった人は決して少なくないはずです。それを知らずに帝王切開して次から子どもができなかったら、後悔しても、しきれないでしょう。私の妻もヤブ産科医の言葉に流されそうになっていましたが、帝王切開して、次の子どもができなかったとしたら、私は離婚していたかもしれません。

なお、私の妻は、ヤブ産科医の見立てと違って、40週4日で無事に自然分娩しました。子宮収縮薬も吸引分娩も使っていません。