未来社会の道しるべ

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全ての日本人、特に若い女性が知るべき統計

もうすぐ平成が終わります。平成がどんな時代だったかは、人によって解釈が異なりますが、経済的には停滞の時代であったことは下のGDPグラフからも明らかです。

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昔の高度成長を知る世代(停滞の原因を作った世代でもあります)にとって、停滞とは情けない呼称かもしれませんが、未来を少しでも考える人たちは「停滞で済んでいただけよい時代」と認識しているはずです。新しい元号の時代は、後退の時代に入るからです。もちろん、その最大の原因は、少子化による人口減少です。

失われた30年の平成の時代は、全体として停滞していましたが、既に後退している人たちもいました。若年世代です。特に、結婚適齢期の30代男性の年収は下記のように右肩下がりです。

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このブログで何度も言及している通り、少子化問題は非婚化問題とほぼ同義です。非婚化の原因として、「仕事と家族」(筒井淳也著、中公新書)では「女性の男性への要望が高いからである」と、ある程度科学的に示しています。それでは、なぜ女性は男性に高い要望を持つのでしょうか。その理由の一つに、上記統計が示す通り、若者の給与がバブルの頃より明らかに減少していると、多くの妙齢女性が知らないことはあるでしょう。もっと端的に言ってしまえば、ほとんどの若い女性は下のグラフのように「自分より給与が低い男性とは結婚しない」から、また「自分が生まれ育った家庭より貧しい生活を恐れている」からでしょう。しかし、上の統計に表されている通り、ほとんどの若い男性は若い女性よりは稼いでいたとしても、「自分の父親よりも給与は少ない」のが現状です。

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妙齢以上の日本人なら男女問わず全員知っていることですが、ほとんどの女性は結婚相手に求める条件に年収があります。だから、多くの男性は「希望年収700万円」などと平気で言う女性に驚いたことが一度はあるはずです。「年収700万円の日本人は何%いるかは知っているんですか?」と聞いて、「30%くらい?」と言う女性に、開いた口がふさがらなかった経験のある男性も少なくないでしょう。スマホがある時代に、すぐに下のような統計(国税庁民間給与実態統計調査」)でその誤りを示しても、「女性も含めていますよね?」、「日本人の平均貯蓄額は1000万円なんでしょう?」となかなか納得してくれなかった経験のある男性も、私を含め、いるはずです。

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男性だけだとしても下の統計のように、年収700万円以上なんてごくわずかで、まして未婚の若年男性なら例外中の例外です。年収についての無知は、学歴の低い女性に限りません。高学歴の女性でも(むしろ高学歴の女性ほど)、日本人(の若年男性)がどれほどの年収なのか知りません。ためしに、年収1千万円以上の男性が何%いるか、高学歴未婚女性に聞いてみてください。私の経験でいえば、10%と答えるのはまだまだいい方で、50%と答えた世間知らずもいました(そんなバカでも医者になれるのですから、日本の教育システムはどうかしています)。

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こんな基本的な統計を、なぜ多くの日本人、特に若い女性は知らないのでしょうか。日本人の若者の年収分布、および日本人の若者の年収が毎年下がっていることは、社会常識として、なにより少子化を食い止めるために、小学校から高校までの教科書に必ず載せてほしいです。