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セクハラはモテない男を罰するものではない

つい最近まで、私は次のような勘違いをしていました。

「セクハラは女性の主観によって決まる。全く同じ行為をしても、モテる男がするとOKで、モテない男がするとダメになる。だから、セクハラ禁止法は強者を保護して、弱者を取り締まる悪法である」

この考えが全くの誤解であることを「弁護士が教えるセクハラ対策ルールブック」(山田秀雄・菅谷貴子著、日本経済新聞出版社)より知りました。

セクハラの必須要件は次の三つです。

①性的な嫌がらせであること

②職場で起こっていること

③上の立場の者が加害者で下の立場の者が被害者であること

①、②、③のどれも境界線が曖昧なところはありますし、拡大解釈もされますが、ともかく③があるからこそ、セクハラにより弱者が罰せられない事実があります。実際、よく調べてみると、職場で弱い立場の人がセクハラで訴えられ、慰謝料を請求された実例は見つけられません。

確かに、「全く同じ行為をしても、モテる男がするとOKで、モテない男がするとダメになる」のはセクハラの一面の真実です。「今日の服、おっぱい見えそうだよ。いいねえ」と言っても、女性が喜んでいればセクハラになりませんが、「今日はミニスカートですか」と事実を言っただけでも、女性が嫌がっていればセクハラになります。モテる奴が得をして、モテない奴が損をするのは、残念ながら、この世の常で、セクハラ禁止法(男女雇用機会均等法の中にその条項がある)の有無に関係ありません。

ただし、セクハラ禁止法がその理不尽を助長しているとは思いません。繰り返しますが、たとえ女性が嫌がっていたとしても、職場で名目上も実質上も弱い立場にいる者であれば、セクハラにはなりません。たとえば、職場で美人と人気者の女性に、同じかそれ以下の地位で、いつも一人の男性が腹立ちまぎれに「女を武器にしやがって!」と言っても、セクハラにはなりません。ただし、名誉棄損で慰謝料請求される可能性はあるので、職場で低い地位にいれば、性的な暴言が許されると考えるのは間違っています。その辺りは、常識と合致しているでしょう。

さらに書くと、セクハラがあるからこそ、強者が罰せられている事実があります。「セクハラが強者を罰する」とはどういうことか、次の記事に示します。