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薬剤師が不要であると見抜けなかったツケ

薬学部にこんな授業があることを知っているでしょうか。医師の処方箋(患者に出した薬品名リスト)から、患者の病気を推測する授業です。それを聞いた医学部生は驚き、全員がこう言いました。

「なぜそんな無駄なクイズ授業があるの? 処方箋に病名書いておけばいいだけじゃない」

薬学生は全員こう反論しました。

「いや、患者の病名は個人情報だから、処方箋に書いてはいけない」

薬剤師の常識は世間の非常識のいい例です。個人情報を失うデメリットよりも、薬剤師が病名を知って、医師の処方間違いをチェックできるメリットが遥かに勝ります。それだからこそ、処方箋から病名を推測しているはずです。書いて伝えるのはダメで、理論的に推測して当てるのはいいのでしょうか。その反論は矛盾しています。だいたい、医薬分業のため、病院から分離した門前薬局は、元の病院とカルテを共有していることもあるので、簡単に患者の診断名を知ることができます。それは個人情報違反になっていません。

とはいえ、薬剤師による疑義照会(医師に処方が正しいか確認する作業)は、全処方の約5%で行われているようです。病名が分からないながらも、薬剤師は明らかな医師の処方ミスを指摘していたりします。これは確かに価値ある仕事ですが、薬剤師に高給を払うほどの価値はないと思います。その仕事は、薬剤師でなくてもできるからです。

また、そう遠くない未来に、医師の処方ミスや複数処方箋の薬剤相互作用はAIで自動的にチェックし、通知してくれるようになります。いずれ、こういった仕事自体がなくなるのです。このことに限らず、薬剤師はAIによって医療業界から最初に消える職業であることは衆目の一致するところです。しかし、日本は薬局数の増加に合わせて、下のグラフのように薬剤師の増加も黙認してしまいました。

 

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薬学部合格の難しさ、薬学部が6年生になったこと、なにより30万人もの薬剤師(医師数に匹敵します)を誕生させたことを考えると、医薬分業は高齢者医療費無料化と並ぶ日本医療政策の汚点になると私は考えます。

今後、30万人近い薬剤師をどう活用すべきか、日本人全体で考えないといけないでしょう。