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開業医こそ日本医療の諸悪の根源である

日本の医療従事者で、日本の開業医制度に問題がないと考える人は皆無ではないでしょうか。その最大の理由は次にあります。

「開業医が勤務医よりも遥かに楽なのに、開業医が勤務医より給料が遥かに高い」

勤務医とは病院に勤務する医者で、開業医はクリニックの医者です。通常、開業医は夜間休日勤務もありませんし、入院患者さんも対応しません。必然的に簡単に治療できる患者さんのみ相手しているわけで、少しでも難しい患者さんが来たら、病院に紹介するだけです。来院患者さんの半数以上は薬の継続処方しかしていなかったりします。そんなもの海外では医師の仕事ではなく、薬剤師の仕事です。それにもかかわらず、勤務医より開業医の給与が高い統計事実があります。

これは50年以上も続いている日本医療界の矛盾です。海外では、家庭医(≒日本の開業医)は、専門医(≒日本の勤務医)より給与が遥かに低いのが普通です。なぜ日本だけ、こんなおかしな状況が続いているのでしょうか。

それは日本医師会自民党献金して、開業医の給与が高くなる診療報酬制度になるように要求しているからです。日本医師会とは、名前からすると日本の全ての医師が加入する団体のようですが、実態は開業医中心の団体です。日本医師会に勤務医も加入していますが、開業医団体との批判を防ぐために入ってもらっているだけで、日本医師会が開業医の既得利益を守るための団体であることは紛れもない事実です。あからさまな腐敗です。医療従事者、特に医者なら、誰でも知っている事実です。

だから、「開業医こそ日本医療の諸悪の根源である」と断言する医者も私の周りに多くいます。勤務医の仕事の社会的価値の基準から開業医の給与を定めれば、言い換えると、開業医の給与を勤務医より遥かに低くすれば、勤務医の給与が現状維持なら、日本の医療費が劇的に削減できることは間違いありません。

もっとも、日本の勤務医も開業医を大上段に批判できないだろう、と私は考えています。病院にも多くの無駄、非効率、過剰医療があるからです。また、在宅診療を行う開業医はこれからの超高齢社会の日本には多く必要でしょう。そのため「開業医こそ日本医療の諸悪の根源である」とまで私は考えていません。しかし、その実態を知るにしたがって、やはり「日本の医者社会で、勤務医よりも開業医に問題がある」のは明らかと考えるようになっています。