未来社会の道しるべ

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家庭支援相談員の調査の有用性

前回の記事に書いたように、家庭支援相談員は1年に1回以上、日本の全家庭を訪問して、各構成員に家庭に問題ないかを聞き取り調査します。そんな制度を発足させたら、莫大な税金がかかってしまうのは事実です。

かりに一人の家庭支援相談員あたり平均50家庭を担当するとしましょう。現在の日本の世帯人数の平均は2.47人です(2017年厚生労働省)。50家庭だとしたら、123.5人を担当することになります。日本の人口は1億2676万人なので(2017年総務省)、全ての家庭を網羅するために、約100万人の家庭支援相談員を公費で雇う計算です。1人あたりの人件費を平均500万円としたら、それだけで5兆円の税金が毎年新たに必要になります。決して安い費用ではありませんが、家庭支援相談員を適切に運営できれば、それくらいの価値は生みだせる、と私は確信しています。

もちろん、完璧な家庭など存在しないので、あらゆる家庭には問題があります。家庭支援相談員がそれら全てに対処し、解決するのは不可能です。たとえば、国家の過干渉を防ぐためにも、「認知症の義母が嫁の財布から1000円盗んだ」といった軽犯罪まで家庭支援相談員が警察などの機関に伝えるのは適切でないでしょう。どこまで、どのように支援すべきかについては、いろいろな条件によって変わってきます。ただし、一人一人の不満を調査記録して、適切に相談に乗ることは、家庭支援相談員の最低限の仕事とすべきと考えます。

たとえば、浮気について調査して、解決まで全て支援していたら、家庭支援相談員は何人いても足りないかもしれません。しかし、統計をとってみたら、予想外に日本全体の浮気の総数は少なく、家庭調査員だけで解決まで導いた方が夫婦関係を円満にできてよかった、という結果になるかもしれません。

また、家庭内にいるギャンブル依存症者の相談があったとします。「あなたが力づくで止めればいいでしょう」と家庭支援相談員が説教しただけで、なんの協力もせずに終わりました。しかし、全国で統計をとってみると、その被害人数と被害総額は想像以上で、ギャンブル依存症相談員を特別に配置してでも解決するべきと判明して、新しいギャンブル対策機関ができた、ということになるかもしれません。

なんにしろ、実態を調査して統計的に把握することが重要です。どの問題がどれくらいあって、どれくらい深刻かが分かれば、対策が立てられます。逆にいえば、それが分からなければ、対策や効果を論じても、空転するだけでしょう。まずは、実態調査するために、一部の地域だけでもいいので、家庭支援相談員の創設を提案します。