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性的少数者問題が少子化よりも重要だと考える人たちへ

2017年11月16日の朝日新聞の「オピニオン&フォーラム」に興味深い意見がありました。アメリカのラストベルトにあるオハイオ州の88ある群の一つで、民主党の委員長を務めている人物の愚痴です。

「労働者たちに民主党は『労働者、庶民の党』と伝えてきたが、民主党はメディアを通じて(性的少数派の人々が)男性用、女性用のどっちのトイレを使うべきか、そんな議論ばかりしているように見えた。私が大統領選挙中に聞かされたのは『民主党は雇用よりも(性的少数者の)便所の方に関心がある』という不満だったのです」

似たような不満を、私も日本のリベラルな若者たちに持っています。日本のリベラル派は、性的少数者を救うことの優先順位が異常に高い、と感じることが少なくありません。特に、若い女性たちです。現代の日本を大局的に見れば、それと比較にならないくらい、少子化が重要であることは明白だと思うのですが、理論上は少子化を促進するはずの性的少数者の保護を優先します。

日本では保守だろうと、リベラルだろうと、指導的立場にいる人たちは本当の社会的弱者に接する機会もないため、その気持ちが分からないのでしょうか。世の中には、浮気できるほどもてる男性と、それに苦しむ女性たちと、性的少数者たちしかいない、と本気で思っているのでしょうか。何度も女性にふられて、その度に傷心している大多数のもてない男性が存在することなど想像もできないのでしょうか。現実に、大多数の女性は、そのもてない男の誘いを人生で何度も断ってきているのに、その男性たちの気持ちを考えることもなく、浮気するほどもてる男性たちの誘いを待っているのでしょうか。

少子化の主因は夫婦間の子どもの数が減っているのではなく、結婚率が下がったことにあるのは、もはや常識でしょう。それでは、なぜ結婚率が下がったかといえば、「仕事と家族」(筒井淳也著、中公新書)によると、「女性の相手への希望が高くなったから」と推定しています。

この本に限りませんが、結婚率の低下の問題になると、なぜか「男性が結婚しなくなった」ではなく、「女性が結婚しなくなった」が主題になります。女性が結婚していなければ、当然男性も結婚しないはずなのに、そう表現されます。男性が主語になる場合、「結婚できなくなった」と表現されることもあります。一方、女性が「結婚できなくなった」と表現されることは、まずありません。もっと不思議なのが、この男女差別について(大多数の人にとっては男女区別なのかもしれませんが)、誰も疑問の声をあげていないことです。そこには、いわゆる常識や暗黙の前提があるわけですが、そこまで深く考察しません。

だから、こちらのブログで、あえてその前提を言葉にしていきます。

 

※注意

「女性が結婚していなければ、当然男性も結婚していない」は正しくありません。国立社会保障・人口問題研究所によると、生涯未婚率(50才までに一度も結婚していない率)は、男性で23%、女性で14%と差があります。なぜこんな差が出るかというと、女性が勝ち組の男性と再婚することはあっても、負け組の未婚男性は相手にしていないからです。こんなところにも、女性は「結婚しない」と選択権があるのに対して、男性は「結婚できない」と選択権がないことが現れています。