未来社会の道しるべ

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金余り国家ニッポン

「これまでとは別次元のインフレ策」として日銀が資金供給量を急激に増加させましたが、たった2%のインフレすら起こせないままです。その理由の一つは、日本人の消費意欲の低さでしょう。消費意欲が高いはずの若者は薄給で長時間労働ですし、貯蓄も時間も十分にある高齢者は保守的で、医療と福祉以外にお金の使い道がありません。しかも、その高齢者の医療と福祉の出費ですら、莫大な税金で補助されているのですから、財政赤字にならない方がおかしいです。

現在の私たちが第二次世界大戦時の日本人を「中国との戦争が泥沼化しているのに、アメリカとも戦争するなんて、頭おかしいんじゃないか」と考えるように、財政崩壊後の日本人が今の時代を振り返ったら、「インテリたちは、高齢者ばかりが金持ちになっていることを知りながら、どうしてそれを是正しなかったんだ。頭おかしいだろう」と考えたりするに違いありません。

日本は少なくとも1980年代から、一貫して金余りが続いています。本来ならバブル崩壊時に、銀行家や預金者が少なくない損害を被るべきだったのですが、預金者の責任はもちろん、あろうことか、銀行経営者の責任すら全く追及されず、未来世代にツケを回すという最も恥ずべき現実逃避をしました。結局、バブル崩壊後も現在まで、日本の金余り状態は変わっていません。少子化と人口減少で経済成長は伸び悩む中、銀行は莫大な貯蓄額を持て余し、国債に投資して、その国債は平均1000万円以上の貯金のある高齢者の社会保障、採算を度外視した箱モノ、道路、空港などの公共事業に費やされました。

富の不公平を失くすために」で、高い税金によって、収入格差を30倍程度、資産格差を最高年収の10倍程度にするように私は提案しました。しかし、そこで徴収した税金が十分に豊かなはずの人たち(現在では高齢者)の社会保障に使われたり、非効率な公共事業に使われたりしたら、同じ墓穴を掘ることになります。

そんな失敗を避けるため、次の記事に新しい税金の使い道の一案を述べます。