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どう財政を破綻させるべきか

「日本人の一人当たりの平均金融資産は約1千万円です。これは赤ちゃんも含めた全日本人の平均額です」

「え! それなら、4人家族の自分だと、4千万円の貯金がある計算なのか! 貯金どころか、家のローンがあと何年も残っているのに。いかに自分の家が貧乏か分かった」

日本の財政赤字がどうして破綻しないかを調べているうちに、日本の高い貯蓄額を知って、上のような感想を持った人は多いでしょう。私もその一人でした。上の感想には「家の資産額はいくらなのか? それを計算に入れればローンは相殺され、さらにプラスになり、自分の家もかなりの資産家である。そもそも、子どもが知らないだけで、両親は何百万円もの銀行預金がある」という誤解がしばしばあったりもします。

日本の1千兆円の財政赤字は、ハイパーインフレになるにしろ、預金封鎖が行われるにしろ、最終的に日本の資産家に処理してもらうことになるのは間違いないでしょう。それしか方法はありませんから。

問題なのは、その処理の方法です。日本の財政が破綻することはみんな予想しているようですが、その時、どうするべきかの議論があまりないように思います。せいぜい「ツケを後回しにしてきて、平均2000万円もの資産を持っている高齢者に責任をとらせるべきだ」といった程度ではないでしょうか。それは私も同意するのですが、具体的にどうするのでしょうか。既に逃げ切った(亡くなった)世代もいます。資産のほとんどを投資に回している人もいます。

ハイパーインフレ預金封鎖を起こして、単純に貯蓄額が多い人だけに負担させるのは公平でないでしょう。土地家屋の資産を持っている人、株式資産を持っている人、金(ゴールド)を持っている人、外貨を持っている人などにも負担させるべきです。借金してでも土地や外貨に投資していた人が勝ち組になるのでは、明らかに不公平です。真面目に何十年も働いて貯金してきた2千万円が紙くずになったのに、隣の人は全部ドルに変換していたので全く資産は減らず、外国に逃げて悠々自適な生活を送っている、と知れば、誰だって怒り心頭に達するでしょう。暴動だって起きかねません。

そういった逃げ道は現在、どれくらい法律で防げるようになっているのでしょうか。ない場合、今後、どれくらい規制できるのでしょうか。財務省法務省、政治家、国民は考えるべきでしょう。

もう財政破綻を心配するだけでは不十分です。どう財政を破綻させるか、どう財政赤字を負担させればより公平になるか、よりよい未来につながるかも考えるべきです。

また、「日本が国債デフォルトする前に金銭取引を完全公開しておくべき理由」の繰り返しになりますが、日本が財政破綻する前には、できるだけ公平にするため、日本人および日本国内の全金銭取引をネット上で完全に公開しなければならない、と私は確信しています。また、それができれば、日本は世界の先頭に立って、21世紀の情報公開社会を進めるはずです。