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未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

21世紀に大戦争が起こる可能性

アラブの春が起こっても、中東での民主化が一気に進むという夢は実現しませんでした。友人のイスラエル人にその理由を聞くと、こんな答えが返ってきました。

フランス革命後にフランスで一気に民主化が進んだわけではない。独裁者が出たり、王政が復活したり、戦争したりして、民主政治が定着するまでに100年、150年とかかっている。日本だって、明治維新で民主政治が一度に定着したわけじゃないだろう? アラブも同じだ」

世界中のほとんどの国では、民主化の進展にともなって社会に混乱が生じています。その混乱はしばしば暴力を伴って、場合によっては内戦を生み、ひどい時には他国との戦争にも繋がっています。産業革命以降の世界史を俯瞰すれば、帝国主義国家の民主化の進展に伴う最大の混乱が第一次世界大戦第二次世界大戦であった、と見ることもできると考えます。

21世紀には、世界人口のほとんどを占める発展途上国が文字通りに経済発展します。それに伴い民主化も進展していき、大なり小なり混乱も生じるに違いありません。私として期待するのは、それらの混乱ができるだけ暴力手段によらずに解決することです(軍事国家であれば実現不可能に近い理想とは分かっていますが)。また、日本人として心配することは、それらの混乱が他国との戦争に繋がらないか、という点、特に中国やインドといった経済大国が大戦争を勃発させないか、という点です。

もちろん、中国やインドは帝国主義国家ではなく、むしろ帝国主義国家を敵視しています。また、第二次大戦後に半世紀近くも冷戦が続きましたが、冷戦はついに大戦争にならずに人類は世界を二つに分けた対立を終結させています。21世紀には人の命の価値は極めて尊重されており、それを大量に失ってまで守るべきものや概念など存在しないと、道徳的にも、経済的にも分かりきっている、とも思います。

ただし、上記のように21世紀に世界での存在感が劇的に増す発展途上国で社会の混乱が生じるのは必然でしょうし、それらの国が現在の先進国の経済発展期と同じような過ちを犯す可能性はゼロでない、と私は思います。現在の発展途上国は、かつての先進国よりも急激な経済成長を遂げており、極めて保守的な人権感覚の人たちがいまだ現役世代でいます。当然、政治家にもいます。中国やインドの民衆も、20世紀の冷戦時代のアメリカやソ連の民衆より進んだ人権意識を持っている側面もある一方で、遅れた人権意識を持っている側面も確実にあると私は思います。