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未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

カナダ人の寛容性と生産性の相関関係

私がバンクーバーに住んでいた時、市長選挙では麻薬中毒者対策がいつも争点になると知りました。選挙戦では「どうやって麻薬中毒者を取り締まるか」と論ずる候補者はいなくて、どの候補者も「どうやって麻薬中毒者を救うか」と論じています。カナダ人にとって、麻薬中毒者は犯罪者というよりも社会が生み出した被害者でした。私たちと同じ人間をあのような可哀そうな状況に追いやったのは私たち全員の責任だとの共通認識があったのです。

帰国後、悪臭を放つホームレスを東京の図書館からどう排除すべきか、という記事を読みました。同じ記事の中に、カナダのエドモントン図書館は自らの費用でホームレスに医療保障や住居の紹介、雇用相談、自殺防止のサービスを年間6千回行っていると紹介されています。日本で排除される者がカナダでは救われているのです。

このカナダ人の寛容性の高さに私は感心せずにはいられません。だからこそ、カナダでは多様な背景を持つ者が生活できているのでしょう。麻薬中毒者やホームレスでさえ社会復帰させて受け入れようと考える人たちです。当然、英語の下手な人、変な見た目の人、行儀作法の悪い人なら、もっと社会で受け入れられています。日本では職場から弾き出される人でも働く場を与えられているのです。

この観点からすれば、カナダ人は日本人より怠け者に見えるのに、カナダ人の生産性が日本人より高いのは納得できるところも出てきます。カナダでは怠け者ですら就業の機会を得て、給与を受け取っているのです。働き者ならそれを上回る給与をもらっているため、全体としてカナダ人の生産性が高いのでしょう。

もちろん、これだけで日本とカナダの生産性の差の説明がつくわけがありませんが、一つの要因だと私は感じました。