未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

一人一票の多数決が間違いを導く代表例がインドにあった

「コルニーロフの反乱がなかったら、現在の世界はどうなっていたのでしょうか?」 「21世紀に世界の中心に出現した国はなぜ共産主義なのか」に書いたように、「(くだらない)コルニーロフの反乱がなければボルシェビキ革命(10月革命)は存在しなかった」と…

「資本主義と共産主義」あるいは「民主主義と共産主義」が対立しない実例は70年以上前からインドにあった

私が生まれる前の話になりますが、「民主主義=資本主義」という考え方が、戦後から1970年代くらいの日本人には強くあったようです。昔の本を読むと、「共産主義VS民主主義」という言葉、あるいは考え方が、特に反共産主義派(資本主義擁護派)から頻出しま…

なぜミャンマーで2021年の軍事クーデターが起きて、今後ミャンマーはどうなるのか

21世紀初頭、ミャンマーは20年間も憲法を無視した軍事独裁政権が続いていました。しかし、2008年に憲法ができ、2011年に軍最高司令官とは別の大統領が憲法にのっとって就任し、2016年に民主選挙による政権移譲が行われました。ミャンマーの民主化は着実に進…

2010年代のミャンマーの民主政治期

2021年2月1日にミャンマーで軍事クーデターが起きます。事実上の最高指導者であるアウンサンスーチーが拘束され、「ミャンマー現代史」(中西嘉宏著、岩波新書)によると、「2011年以来続いていた民主政治」が終わりました。 ミャンマーは軍事独裁政権が長く…

世界で最も注目すべき国はインドである

タイトルをより正確に修正すれば、「現在、注目されるべき程度と、実際に注目されている程度の差が最も大きい国はインドなので、インドは最も注目すべき」になります。 日本だと、この命題は間違いなく真でしょう。もう既にインドはG7の多くの国をGDPで抜い…

中国はアメリカのようだが、インドはヨーロッパのようだ

先日、久しぶりの海外旅行でバリ島に行きました。千年以上の歴史あるダンスのようで、実際は西洋人のために100年ほど前に作られたケチャダンスを観ていた時、妻が観客席を指して「人種のるつぼだね」と言っていました。 そこには500人くらいの観客がいたと思…

ベーシックインカムよりも国民所得税を導入すべき

「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)は、累進課税こそ社会正義との考えで貫かれています。私もそれに異論は一切ありません。極端に貧しい者と極端に富める者もいない社会は、有史以来、人類普遍の理想だと私は信…

トリクルダウン理論が間違っている証拠

このブログを読むような方なら、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなる」というトリクルダウン理論は知っているでしょう。これが間違っていることは、次のグラフで一目瞭然です。 「つくられた格差」(エマニュエル・サ…

なぜ累進課税は後退しているのか

ソ連が崩壊した頃から、多くの先進国は自由競争を重視し、富裕者へ課税率を下げ、貧富の差が拡大しています。当時から現在まで、ほとんどの先進国は民主主義国家です。古今東西全ての社会で、富裕者は一部で、大多数の一般人は富裕ではありません。だとした…

「法人税を失くせ」は「金持ちの脱税を認めろ」とほぼ同義である

「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)によると、いつの時代であれ、法人税の主な存在理由は租税回避の防止にありました。法人税が個人所得税と同時に生まれた理由も、そこにあります。 資本を持たない被雇用者は個…

「法人税はゼロがいい」理論は間違っている

「法人税がゼロでいい」理論の誤りをこの記事と次の記事で示します。この記事では、「(法人税を含む)資本所得の税率はゼロがいい」理論の誤りを示します。根拠は全て「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)です。 …

なぜ増税と言ったら消費税の話になっているのか

「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)は私の長年の疑問に答えを出してくれた素晴らしい本でした。 極端に貧しい者もおらず、極端に富める者もいない社会は、誰もが理想とするはずです。1990年頃の日本は、見方によ…

経済縮小時代を迎える韓国と日本

韓国の不動産バブルが崩壊しはじめました。ここ10年ほどの韓国の地価の値上がりは異常で「まるでバブル時代の日本のようだ」と何度も言われ、いずれバブルが崩壊すると多くの経済専門家が指摘していたのに、「不動産価値が上がって資産が倍増した」などと能…

叩いてホコリの出ない人などいない

タイトルの言葉は、私の人生で会った人の中で最も清廉潔白な人に言われました。 「だから、Aさんみたいにお上と戦うのはよくない」 それが言いたいことでした。Aさんは反権力思考が強い人物で、なにかとあれば公的機関と対立していました。そのせいで手続き…

日本の犯罪報道は警察が作っている

「子どもを車内に置き去りにして、亡くなる事件なんて昔からいっぱいあったのに、なぜ最近になってニュースになっているの?」 妻に質問されました。犯罪報道に限らず、これは日本の報道の本質を突く質問で、全ての日本人がこの答えを知っておくべきです。実…

日本財政の粉飾の詳細は公開されなければならない

確たる証拠もないのに書くので、陰謀論になってしまいますが、あえて断定します。 日本財政は粉飾されています。遅くとも1990年代にバブルが崩壊した頃からは粉飾されていると私は推定しています。「亡国予算」(北沢栄著、実業之日本社)を読んで、一般会計…

日本はどうやって人口減少・経済縮小社会を迎えるのか

「東芝の悲劇」を読んで、私が一番感じていたのは前回の記事で論じた「経営者の資質」などではなく、「日本はこのまま上手く衰退していけるのだろうか」でした。日本企業の「お公家さん」である東芝でさえ、引き際にここまで無様な醜態をさらしました。日本…

天才経営者などいない

「東芝の悲劇」(大鹿靖明著、幻冬舎文庫)は素晴らしい本でした。「日本人である前に人間である」に書いたように、ほとんどの日本人ジャーナリストは取材相手に接する間に取材相手に取り込まれて、偏った見解を報道するのが一般的ですが、著者は取材相手を…

福田孝行と門田隆将の死刑観の違い

前回までの記事の続きです。 「福田君を殺して何になる」(増田美智子著、インシデンツ)で、福田自身は次のような刑罰を提案しています。 「たとえば、『無期懲役+死刑』とか。(仮釈放がない)終身刑もあってもいい。拘置所の間は労役がないけど、まずは…

光市母子殺害事件はどう処理すべきだったのか

前回までの記事の続きです。 本題から逸れて総論になりますが、私も日本の刑法の厳罰化には賛成であることをここで述べておきます。ただし、「死刑よりも反省し、被害者に償うべき」と考えているので、死刑はなくすべきと考えています。 少しでも「厳罰化」…

光市母子殺害事件犯人は嘘をついているのか

前回までの記事の主張と同じですが、別の観点から考察します。 「強姦目的ではなく、優しくしてもらいたいという甘えの気持ちで抱きついた」「(乳児を殺そうとしたのではなく)泣き止ますために首に蝶々結びしただけ」「乳児を押し入れに入れたのは(漫画の…

福田孝行の暴力性と女性観

前回までの記事での主張と同じですが、さらに考察します。 「酒鬼薔薇事件は不良文化によって起こされた」にも書いた通り、反社会的な環境にいればいるほど、犯罪を起こしやすくなります。暴力性が高い人ほど、暴力事件を起こしやすく、歪んだ女性観を持って…

なぜ福田孝行は「なめないでいただきたい」と言ったのか

前回までの記事の続きです。 「光市母子殺害事件裁判での犯人の激怒」での2007年9月20日の裁判は、もともと被害者遺族の意見陳述だけの予定でした。福田の反省の意思を示したい弁護団の要請により、被告人質問も付け加わりました。しかし、福田は検察官の「…

簡単に犯人の味方になってしまった被害者側のジャーナリスト

前回の記事の続きです。 「なぜ君は絶望と闘えたのか」(門田隆将著、新潮文庫)の著者の門田は、差戻控訴審で死刑判決が出た翌日に、広島拘置所で福田に面会しています。そこでの面会の記述を引用します。 昨日の死刑判決についての思いをまず聞いた。 その…

光市母子殺害事件裁判での犯人の激怒

前回までの記事にも書いた通り、福田の過去を知人からの証言で探す限り、殺人事件を犯すような暴力性と爆発性は発見できません。それらが公に示されたのは、2007年9月20日、被害者遺族の意見陳述後、福田への被告人質問が行われた時です。以下は「なぜ君は絶…

福田孝行の女性観がいかに歪んでいたか

前回までの記事の続きです。 光市母子殺害事件の犯人の福田孝行は女性観が歪んでいました。「なぜ僕は『悪魔』と呼ばれた少年を助けようとしたのか」(今枝仁著、扶桑社)で著者の今枝は、フロイト派の精神科医のごとく、福田の女性観について解釈を述べてい…

光市母子殺害事件の原因は犯人が父から虐待を受けていたからなのか

前回までの記事の続きです。 光市母子殺害事件の犯人である福田孝行が父から暴力を受けていたことは、どの本にも書かれています。福田の死刑を長年訴えてきた遺族の本村でさえ、福田の幼少期の育て方に問題があったことを認めています。「なぜ僕は『悪魔』と…

なぜ福田孝行は不謹慎な手紙を書いたのか

前回までの記事の続きです。 光市母子殺害事件の犯人の福田は前回の記事に書いたような不謹慎な手紙を、一審公判中の1999年11月から一審で無期懲役判決が出た後の2000年6月までに書いています。この手紙の送付相手のAは、1999年9月に山口刑務所の拘置所で福…

なぜ光市母子殺害事件裁判は死刑となったのか

前回までの記事の続きです。 「なぜ僕は『悪魔』と呼ばれた少年を助けようとしたのか」(今枝仁著、扶桑社)によると、1999年4月の光市母子殺害事件に、当初、マスコミはほとんど注目していませんでした。18才の少年が23才の若い女性を殺害した後、死姦し、…

光市母子殺害事件の一審・二審の弁護人の罪

「光市母子殺害事件での罵倒報道批判」の記事に書いた通り、光市母子殺害事件の報道は、「この差戻控訴審の裁判中、同じような傾向の番組が、放送局も番組も制作スタッフもちがうのに、いっせいに放送され、その場の勢いで、感情的に反応し、他でやっている…