未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

医療

帝王切開で不妊が増える

タイトルの知識は医療者なら当然持っているものだと私は思っていましたが、「そんなことはない」と否定する産科医がいて、唖然としました。産科看護師はもちろん、助産師すらも知らない人ばかりで、愕然としました。こちらのガイドラインにある通り、帝王切…

葬送の自由

「これからの死に方」(橳島次郎著、平凡社新書)は私の蒙を啓いてくれた本でした。何ヶ月かに一度、こういった本に出会えます。「浮浪児1945を読んで」にも書いたように、このような日本語の本の存在が(日本も捨てたものではない)と私に希望を与えてくれ…

抗がん剤治療の費用対効果

ホスピスとも呼ばれる緩和ケア病棟が日本では保険適用されています。入院費用は5万円/日、入院期間は1ヶ月までになります。「日本のリハビリテーションに欠けているもの」に示した通り、急性期の入院費用の3万8千円/日よりも高額です。緩和ケア病棟に1ヶ月い…

健康的な食事と医学

「ビタミンCは風邪を治す」との仮説があります。ビタミンCを入れた試験管内で、免疫細胞が活性化していることが、この説の根拠です。 しかし、この論文にあるように、風邪にかかってからビタミンCを摂取しても効果はありません。ビタミンCを毎日1~2g摂取し…

高齢者が増えたからといって医療費が増えるとは限らない

高齢者が増えると、医療費が増えると多くの人は考えています。長年、私もこれを疑ったことがありませんでした。しかし、それは必ずしも正しくないはずです。高齢まで生きようが、生きまいが、人間は必ず死に、死ぬ前には病気になります。高齢者には申し訳あ…

なぜ歯科の保険診療総額は増えないのか

歯科医師の数は右肩上がりです。 日本で医師の数が約30万人ですから、歯科医師数約10万は多すぎです。誰だって歯科医師数を制限したくなります。だから、かつて90%合格が当たり前だった歯科医師国家試験の合格率を70%程度まで低くして、新しく歯科医になる…

日本のリハビリテーションに欠けているもの

日本の一般入院施設は2016年で、高度急性期が約17万床、急性期が約54万床、回復期が約13万床、慢性期が約34万床になります(他に精神病床などもありますが、今回は扱いません)。大まかな入院期間は高度急性期病棟で数日間まで、急性期病棟で14日間まで、回…

高齢者が肺炎で入院すれば寿命が短くなる

高齢者が発熱で苦しんでいると、家にいても施設にいても、誰かがその高齢者を病院に連れてきます。もし肺炎だと分かると、ほぼ自答的に入院になります。高齢者だと誤嚥性肺炎の可能性が高いので、入院初期は絶食とされます。食事をして、また誤嚥したら、肺…

健康的な食事は未解明だが、健康の最大の要因は食事に違いない

何年か前に書店で「長生きしたければ肉食をやめろ」という本の隣に「健康になりたければ肉食をしよう」という本を見つけたことがあります。どちらも正しくもあり、間違ってもいます。 日本の高齢者には5剤以上の薬を併用する方が過半数いますが、5剤以上の薬…

ベーシックインカムよりも人的支援を充実させるべきである

昨日出会った70才の女性です。大腿骨頸部骨折後に手術した患者さんでした。子ども時代にいじめにあったため、ろくに小学校も行っていなかったそうです。年齢からして日本国憲法下の時代に育っているので、憲法違反です。親はどうしていたのか、と思いますが…

医療はゼロをプラスにする役割が苦手である

医療の基本ですが、専門職でもこの基本を認識していない人は多くいます。ほとんどの医療は病気を治すことに特化しています。医療はマイナスをゼロにすることは得意でも、ゼロをプラスにすることは苦手なのです。 その大きな理由は、健康の度合いを科学的に判…

日本は医師過剰である

日本は医師不足とニュースでよく見る現在からは信じられないかもしれませんが、2007年まで日本は医師過剰と公的に判断されていました。医学部の1年あたりの定員数は81年~84年の8280人から減少の一途を辿り、2007年には7625人にまで減った事実があります。し…

がん検診に上限年齢は設けるべきである

ほとんどの病気は早期に発見し、治療されれば、症状が小さくて済みます。早期発見早期治療が医療の基本なのは事実です。ただし、早期に発見できない病気もあれば、早期に発見できたとしても治療の副作用が大きく、治療すべきでない病気はいくらでもあります…

健康への欲求は無限である

数年前まで病床利用率が50%未満の大赤字の市民病院が私の県にありました。その市民病院が儲からなかったのは、設備の整った大病院が近隣にいくつもあり、市民の多くはそれらの病院を利用していたからです。 当然、市議会では市民病院の閉鎖案が出されました…

死生観の社会的向上と個人の幸福

医療の発展は、医学の進歩だけで決まるものではありません。公衆衛生の向上は、医学の進歩以上に、人類の健康増進に役立っています。また、社会全体の死生観の向上も、医療の発展あるいは個人の幸福に繋がっています。 たとえば、20年以上前の日本では、癌告…

ピンピンコロリは違法である

前回の記事で、医学が進歩したため、ピンピンコロリが実現できなくなった、と私は書きましたが、それはおかしな話です。医療技術が発展すれば、人間は苦しみながら死ぬしかない、会話ができなくなるまで、トイレが使えなくなるまで、歩けなくなるまで、生き…

ピンピンコロリは理想でない

「直前まで元気で、急に死ぬ」といった意味のピンピンコロリは、10年ほど前、マスコミで理想として持て囃されていました。今でも、ピンピンコロリを理想と考えている高齢者は少なくないようです。 しかし、ピンピンコロリが現実に起こったら、どうなるでしょ…

ピンピンコロリは無理である

10年くらい前、全国紙を始めとしたマスコミで「ピンピンコロリ(略してPPK)」という言葉が流行しました。「人生の最後までピンピン元気でコロリと死ぬ」といった意味で、主に「そんな死に方が理想である」という前提で使われていました。その頃の私は医療従…

母子手帳と女性手帳

国際医療について少しでも学んだことのある方なら、母子手帳が日本最高の国際医療貢献度を誇ることは知っているでしょう。私も国際医療に関する集会で母子手帳の自慢話を何回聞いたか分かりません。 母子手帳は日本発祥で発展途上国中心に世界中で普及し、わ…

医療革命

いずれ必ず導入されるAI医療では、「医者の消滅」「医者決定医療から自己決定医療へ」「無駄な医療の削減」が三大改革になるでしょう。「医者の消滅」「医者決定医療から自己決定医療へ」は前回までの記事に書いたので、ここでは「無駄な医療の削減」につい…

医療の本質

50年後の日本人からすると、人間が医療診断している現在を信じられないでしょう。命に係わることを、間違うこともある人間の判断に任せていたなんて、ありえないと考えるはずです。 その未来の人に言い訳をすると、2018年現在でも、同じ感想を持っている人は…

日本は世界で最初に医者のいない国を目指すべきである

結局、僕は東大に入らず、アメリカ西海岸の大学の医療工学部に進学することにした。最高のコンピュータ教育を受けさせてくれた父の期待を裏切ることになるが、僕は日本の大学に入る選択はどうしてもできなかった。 僕の祖父は東大卒の心臓手術師であった。い…

「薬品業界は不正の温床」という格言

海外の医学会に参加して、全てのパンフレットの裏表紙に「当学会は製薬企業から金銭支援を受けていません」と書いてあるのを見て、異様に感じる日本人医師たちが(残念ながら)います。ちなみに日本では、ほぼ全ての学会で製薬企業がスポンサーに入って、医…

門前薬局は日本から消えるべきである

「医薬分業は日本医療行政史上に残る大失敗」の記事で、国が医薬分業(病院から薬局を分離)を進めたのは、薬漬け医療を抑制するためと書きました。では、全医療費に占める薬剤費比率は減ったのでしょうか。残念ながら、この20年間ほど横ばいで、減っていま…

薬剤師が不要であると見抜けなかったツケ

薬学部にこんな授業があることを知っているでしょうか。医師の処方箋(患者に出した薬品名リスト)から、患者の病気を推測する授業です。それを聞いた医学部生は驚き、全員がこう言いました。 「なぜそんな無駄なクイズ授業があるの? 処方箋に病名書いてお…

医薬分業は日本医療行政史上に残る大失敗である

上のグラフが示しているように、20年前まで日本では病院で薬をもらうことが普通でした。病院で処方箋をもらった後、病院の外にある薬局に処方箋を提出して、薬をもらう手間がなかったのです。しかし、「医薬分業が海外では当たり前である」という主張がなぜ…

患者中心医療を実現するには患者も変わらなければいけない

「昔の医者は患者から賄賂もらっていたんですよね?」 私が年配の医者にこのような質問をすると、ほぼ決まって嫌な顔をされました。社会の腐敗を軽蔑してやまない人(私)に、それに関わった過去を白状したくないからでしょう。多くの医者はこう言い訳しまし…

開業医こそ日本医療の諸悪の根源である

日本の医療従事者で、日本の開業医制度に問題がないと考える人は皆無ではないでしょうか。その最大の理由は次にあります。 「開業医が勤務医よりも遥かに楽なのに、開業医が勤務医より給料が遥かに高い」 勤務医とは病院に勤務する医者で、開業医はクリニッ…

感染症は栄養摂取と休養が最適の療法である

上のタイトルは特に呼吸器感染症にあてはまります。日本の外来患者のかなりの割合を占める上気道炎(風邪や扁桃炎)、インフルエンザ、肺炎(特に非定型肺炎)は薬なしで治ります。これらの病気で、わざわざ寒い中クリニックまで来る必要はないし、大して効…

日本の医者はお金に無頓着である

「診療報酬制度」の記事で、白内障手術の診療報酬を激減させたことに、良心的な眼科医は不平を言っていない、と書きました。その一番の理由は、白内障手術の診療報酬の激減前も後も、病院内での眼科医の給料は変わっていないからです。 そもそも、医者の給料…