未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

葬送の自由

「これからの死に方」(橳島次郎著、平凡社新書)は私の蒙を啓いてくれた本でした。何ヶ月かに一度、こういった本に出会えます。「浮浪児1945を読んで」にも書いたように、このような日本語の本の存在が(日本も捨てたものではない)と私に希望を与えてくれ…

根拠に基づく政策立案(EBPM)

ついに内閣府のHPにも証拠に基づく政策立案(Evidence Based Policy Making)という言葉が載ることになりました。日本の政治ではこれまで個別の観念や経験を元に不毛な議論を無数に繰り返してきました。これからの日本は、いくつもの価値ある統計がネット上…

環境問題と教養

今朝の朝日新聞のオピニオン&フォーラムの記事は興味深い内容でした。昨年、九州電力管内で太陽光発電業者らに出力抑制が出され、「原発の稼働を止めずに、再生可能エネルギーの出力を抑制するとはなにごとか」と朝日新聞を含む多くのメディアが批判的に報…

2019年ではID代わりに住所を記入している

タイトルを読んで「令和のはじめの頃はまだ『住所』を書かせていた時代か」と思うのは、あと何年後でしょうか。 私は先日引っ越したので、市役所に転入届を提出してきました。たかがそれだけなのに3時間もかかりました。医者の仕事もAIに置き換わると本気で…

抗がん剤治療の費用対効果

ホスピスとも呼ばれる緩和ケア病棟が日本では保険適用されています。入院費用は5万円/日、入院期間は1ヶ月までになります。「日本のリハビリテーションに欠けているもの」に示した通り、急性期の入院費用の3万8千円/日よりも高額です。緩和ケア病棟に1ヶ月い…

健康的な食事と医学

「ビタミンCは風邪を治す」との仮説があります。ビタミンCを入れた試験管内で、免疫細胞が活性化していることが、この説の根拠です。 しかし、この論文にあるように、風邪にかかってからビタミンCを摂取しても効果はありません。ビタミンCを毎日1~2g摂取し…

高齢者が増えたからといって医療費が増えるとは限らない

高齢者が増えると、医療費が増えると多くの人は考えています。長年、私もこれを疑ったことがありませんでした。しかし、それは必ずしも正しくないはずです。高齢まで生きようが、生きまいが、人間は必ず死に、死ぬ前には病気になります。高齢者には申し訳あ…

なぜ歯科の保険診療総額は増えないのか

歯科医師の数は右肩上がりです。 日本で医師の数が約30万人ですから、歯科医師数約10万は多すぎです。誰だって歯科医師数を制限したくなります。だから、かつて90%合格が当たり前だった歯科医師国家試験の合格率を70%程度まで低くして、新しく歯科医になる…

日本のリハビリテーションに欠けているもの

日本の一般入院施設は2016年で、高度急性期が約17万床、急性期が約54万床、回復期が約13万床、慢性期が約34万床になります(他に精神病床などもありますが、今回は扱いません)。大まかな入院期間は高度急性期病棟で数日間まで、急性期病棟で14日間まで、回…

高齢者が肺炎で入院すれば寿命が短くなる

高齢者が発熱で苦しんでいると、家にいても施設にいても、誰かがその高齢者を病院に連れてきます。もし肺炎だと分かると、ほぼ自答的に入院になります。高齢者だと誤嚥性肺炎の可能性が高いので、入院初期は絶食とされます。食事をして、また誤嚥したら、肺…

健康的な食事は未解明だが、健康の最大の要因は食事に違いない

何年か前に書店で「長生きしたければ肉食をやめろ」という本の隣に「健康になりたければ肉食をしよう」という本を見つけたことがあります。どちらも正しくもあり、間違ってもいます。 日本の高齢者には5剤以上の薬を併用する方が過半数いますが、5剤以上の薬…

ベーシックインカムよりも人的支援を充実させるべきである

昨日出会った70才の女性です。大腿骨頸部骨折後に手術した患者さんでした。子ども時代にいじめにあったため、ろくに小学校も行っていなかったそうです。年齢からして日本国憲法下の時代に育っているので、憲法違反です。親はどうしていたのか、と思いますが…

医療はゼロをプラスにする役割が苦手である

医療の基本ですが、専門職でもこの基本を認識していない人は多くいます。ほとんどの医療は病気を治すことに特化しています。医療はマイナスをゼロにすることは得意でも、ゼロをプラスにすることは苦手なのです。 その大きな理由は、健康の度合いを科学的に判…

日本は医師過剰である

日本は医師不足とニュースでよく見る現在からは信じられないかもしれませんが、2007年まで日本は医師過剰と公的に判断されていました。医学部の1年あたりの定員数は81年~84年の8280人から減少の一途を辿り、2007年には7625人にまで減った事実があります。し…

がん検診に上限年齢は設けるべきである

ほとんどの病気は早期に発見し、治療されれば、症状が小さくて済みます。早期発見早期治療が医療の基本なのは事実です。ただし、早期に発見できない病気もあれば、早期に発見できたとしても治療の副作用が大きく、治療すべきでない病気はいくらでもあります…

健康への欲求は無限である

数年前まで病床利用率が50%未満の大赤字の市民病院が私の県にありました。その市民病院が儲からなかったのは、設備の整った大病院が近隣にいくつもあり、市民の多くはそれらの病院を利用していたからです。 当然、市議会では市民病院の閉鎖案が出されました…

就職面接での就職コーディネーターの同席義務化

2018年12月15日朝日新聞土曜版の記事で、クックビズという飲食業界の人材紹介サービス企業が紹介されていました。驚いたのは、スタッフが採用面接に同行することです。飲食業界は離職率が30%と高い業種なので(下の日本生産性本部生産性総合研究センター2018…

全ての日本人、特に若い女性が知るべき統計

もうすぐ平成が終わります。平成がどんな時代だったかは、人によって解釈が異なりますが、経済的には停滞の時代であったことは下のGDPグラフからも明らかです。 昔の高度成長を知る世代(停滞の原因を作った世代でもあります)にとって、停滞とは情けない呼…

ある氷河期世代の叫び声

上は2017年12月8日の朝日新聞社説余滴です。ちょうど私の世代である「氷河期世代」が就職時期だけでなく、現在に至るまで、経済的損失を被っている統計を示しています。上の世代と比べても、下の世代と比べても、今の好景気時に失業者の減少が鈍く、非正規雇…

死生観の社会的向上と個人の幸福

医療の発展は、医学の進歩だけで決まるものではありません。公衆衛生の向上は、医学の進歩以上に、人類の健康増進に役立っています。また、社会全体の死生観の向上も、医療の発展あるいは個人の幸福に繋がっています。 たとえば、20年以上前の日本では、癌告…

ピンピンコロリは違法である

前回の記事で、医学が進歩したため、ピンピンコロリが実現できなくなった、と私は書きましたが、それはおかしな話です。医療技術が発展すれば、人間は苦しみながら死ぬしかない、会話ができなくなるまで、トイレが使えなくなるまで、歩けなくなるまで、生き…

ピンピンコロリが実現できない理由は医者にある

「ピンピンコロリは無理である」と「ピンピンコロリは理想でない」の続きです。 ピンピンコロリが不可能な理由はどこにあるのでしょうか。それは医学の進歩、および医療アクセスの充実です。もはや心筋梗塞や脳卒中を起こしても、すぐに救急車を呼べば、特に…

ピンピンコロリは理想でない

「直前まで元気で、急に死ぬ」といった意味のピンピンコロリは、10年ほど前、マスコミで理想として持て囃されていました。今でも、ピンピンコロリを理想と考えている高齢者は少なくないようです。 しかし、ピンピンコロリが現実に起こったら、どうなるでしょ…

ピンピンコロリは無理である

10年くらい前、全国紙を始めとしたマスコミで「ピンピンコロリ(略してPPK)」という言葉が流行しました。「人生の最後までピンピン元気でコロリと死ぬ」といった意味で、主に「そんな死に方が理想である」という前提で使われていました。その頃の私は医療従…

なぜ私がこんな国の少子化を心配しているのか。私はバカか?

「どうしてこの人は子どもを作らないのだろう? それだけならまだしも、子どもを作らないことで社会に迷惑をかけることに全く気づいていないなんて、どこまで道徳心のない奴だ。アンタが老いた時、誰が介護するんだ?」 そう思ってしまうことは少なくありま…

母子手帳と女性手帳

国際医療について少しでも学んだことのある方なら、母子手帳が日本最高の国際医療貢献度を誇ることは知っているでしょう。私も国際医療に関する集会で母子手帳の自慢話を何回聞いたか分かりません。 母子手帳は日本発祥で発展途上国中心に世界中で普及し、わ…

性の多様性尊重と少子化対策は両立できる

昨日の朝日新聞の1面トップには、「同性カップルを生産性のない人」と発言した女性政治家への批判記事が載っていました。確かに問題発言だと私も思いますが、同性カップルだと子どもを産めないのは科学的事実であり、少子化問題が最大の政治・経済・社会問題…

勤勉すぎる主婦たちが日本の生産性を下げる

遺伝的に日本人に勤勉な人の割合が高いとは思いませんが、能力のある人は極限まで勤勉にしてしまうのが日本社会のように思います。企業で働く日本人男性もそうですが、家庭でも日本人女性は平均すると世界一勤勉だと私は推測しています。 それがよく示す数値…

学習指導員

「全国共通習熟度順テスト」と「ネット教育を一般化すべきである」の続きです。これら二つの制度を導入すれば、教員人件費は大幅に削減されるはずです。その浮いた費用で、学習指導員の導入を提案します。 学習指導員は国家資格の教育職ですが、授業は行いま…

ネット教育を一般化すべきである

日本の最難関学力試験である司法試験の合格者のほとんどは、現在、ネット講座で法律を学んでいることを知っているでしょうか。同様に、医師国家試験の合格者のほとんどは、ネット講座で学力を養っています。もちろん、ほぼ全ての合格者は大学で法律や医療を…