未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

100兆円を越えるコロナ予算の事後検証

「コロナ予算」は、新型コロナの流行が本格化した令和2年度だけで、総額77兆円です。日本大震災の復興予算が、10年あまりの総額で約32兆円であることからも、「コロナ予算」がいかに異次元の規模かがわかります。ワクチン接種、国のマスク配布、Go To イート…

学位論文のための難民調査

前回の記事の続きです。情報源は「アフリカの難民キャンプで暮らす」(小股直彦著、こぶな書店)になります。 著者はオックスフォード大学の博士課程の研究のため、ガーナのブジュブラムに来ていました。そのオックスフォード大学の大先輩にデビッド・タート…

恵まれた難民たち

前回の記事の続きです。情報源は「アフリカの難民キャンプで暮らす」(小股直彦著、こぶな書店)になります。 難民「なあ、俺って、リベリアに帰った方がいいのかな?」 著者「帰りたいのか?」 難民「いや、そうじゃないけど……。でも、UNHCRやガーナ政府は…

難民キャンプの政治

前回の記事の続きです。情報源は「アフリカの難民キャンプで暮らす」(小股直彦著、こぶな書店)になります。 「難民たちは政治に参加してもいいのだろうか? もちろんだ。難民の政治的権利は難民条約および各種人権条約に規定されている」 そう本にはありま…

先進国移住の可能性は難民にとっての麻薬

前回の記事の続きです。情報源は「アフリカの難民キャンプで暮らす」(小股直彦著、こぶな書店)になります。 「難民キャンプの経済事情」で、難民キャンプ内の多くの職業を書きましたが、これほど多種多様な職業が難民キャンプで存在している例は少数です。…

難民キャンプ内の助け合い

前回の記事の続きです。 「外圧にさらされる集団は、内部での結束力が高まるのが常だ」 「アフリカの難民キャンプで暮らす」(小股直彦著、こぶな書店)からの引用です。 難民キャンプが長期化すると、難民たちは受入国から帰国するように促されます。どの難…

難民キャンプの経済事情

「アフリカの難民キャンプで暮らす」(小股直彦著、こぶな書店)は素晴らしい本でした。難民キャンプの経済事情について調査した本です。 「左翼のキレイ事に吐気を催す保守派たちへの共感」の記事で書いた生半可な海外ボランティアを経験した一人と、私との…

教育の効率を高める改革

「科学立国の危機」(豊田長康著、東洋経済新報社)で、元三重大学学長でもある著者が再三主張していることは「国立大学の選択と集中は間違っている」です。 著者は三重大学学長の在職中に、この政策が発表された時、わざわざ緊急記者会見まで開いて批判しま…

一人あたりGDPを上げるために研究者人件費の公費支出を増やすべきである

「科学立国の危機」(豊田長康著、東洋経済新報社)は統計を元に、いくつもの相関関係を調べています。まず、論文数と一人あたりのGDPは正の相関、論文数と労働生産性は正の相関があることを示しています。 また、論文数は単純に大学研究者数(実際には総研…

イギリス製大学ランキングは信頼できないが、日本の大学レベルの低下は間違いない

このブログの閲覧数で上位に入る記事で、「他に読んでもらいたい記事がいくらでもあるのに」と私が思うものがいくつかあります。 「恋愛における女性優位の証拠」「LGBTはよくてロリコンはダメな理由が分からない」「人類史上最悪の殺人犯は毛沢東である」な…

京アニ放火事件の死者数はなぜ明治以後最悪になったのか

タイトルの答えは簡単で、放火だったからです。 私の小学校の先生がこんな話をしていた記憶があります。 「地震も、火災さえ起きなければ、そう怖くはない」※ 日本史上最大の死者数を出したのは1923年の関東大震災で、約10万人です。死因の9割は津波や建物崩…

「大地震連鎖と富士山大噴火」と「国債デフォルト」よりも被害が明らかに大きくなる日本のリスク

前回の記事の続きです。 「大地震の連鎖と富士山大噴火」と「国債デフォルト」の被害規模の比較は難しいですが、それ以上に悲惨な状況になる危機を今現在の日本が抱えていることを知っているでしょうか。この問いに日本人の多くが即答できないのなら、それは…

なぜ今日起きてもおかしくない国債デフォルトが起きた時の準備をしないのか

2023年12月15日の朝日新聞の記事の抜粋です。 「国会が開いているにもかかわらず、国会審議がいらない予備費で経費をまかなう事例が相次いでいる。政府が2020~21年度に使い道を決めたコロナ予備費約14兆円のうち4割超が国会開会中の決定だった。政府は緊急…

東日本大震災は誰も予知していなかったのか

2008年の世界金融危機の時、多くの人はこう考えました。 「デリバティブなどの訳の分からない金融商品がのさばっていたから、巨大な経済バブルが発生した」 私も、ほぼ同意見です。サブプライムローンという住宅の借金を債権に変えるなど、誰でもおかしいと…

地震予測は役に立たない

「地震学をつくった男・大森房吉」(上山明博著、青土社)によると、「かつて国民の多くから敬愛され、世界の人びとから『地震学の父』と称揚され、1916年には日本人初のノーベル賞候補となった大森は、1923年の関東大震災を予知できなかったため、『無能な…

日本で大地震が起こった時に最も心配すべきこと

正月の能登半島地震の報道で、ある弁護士が震災被害の証拠を示すための写真や動画を撮るべきことを言った後、最も被災者に伝えたい内容として、こう述べました。 「地震に対する経済的支援は十二分に出ます。日本には災害を救済するための支援制度が数えきれ…

全共闘運動が日本会議を生んだ

前回の記事の続きです。 全共闘運動が最も影響を与えたのは、なんと左翼ではなく、右翼との解釈があります。左翼は民衆運動が活発で、右翼は暴力団体運動が活発なのは、西洋でも東洋でも日本でも同じです。しかし、現在、右翼でも日本会議や在特会などの、民…

空想内全共闘の終わり

前回の記事の続きです。 私が大学時代、新左翼運動に参加しなかった最大の理由は、インターネットの炎上です。大学時代に、新左翼についてのHPを立ち上げ、ネット上で議論したら、ものの見事に炎上したのです(当時は炎上という言葉もなかったですが)。議論…

全共闘とはなんだったのか

前回の記事の続きです。 私の出身大学でも、1990年代後半に、わずかですが、新左翼グループが残っていました。全共闘運動に尋常でない興味を持っていた私は、当然、その新左翼グループに加わることも考えましたが、躊躇していました。 最大の理由はインター…

全共闘の思想的敗北

前回の記事の続きです。 全共闘は思想的にも負けていたと私は考えています。当時の大学や自民党に問題が多くあったのは事実です。だから、大学当局や政治に反抗するのは確実に正当性があります。しかし、それにしても「この要求は横暴だ」「その理屈は飛躍し…

全共闘はなぜ失敗したのか

前回の記事の続きです。 日大紛争の1968年9月30日は一つの到達点ではありますが、その1ヶ月前くらいから全共闘側の道徳違反が目立ち始めています。私が大学生だった2000年頃に文献だけを頼りにしても、特に全共闘側が我田引水なので、本質がつかみづらかった…

全共闘の熱狂

「日本で理性的な反抗があった」 「不良どもによる道徳にもとる反抗ではない」 「学力の高い一流大学の学生たちが民衆運動として反抗していた時代があった」 私の大学時代の勉強の半分は、全共闘の自己研究に費やされたと言っても過言でないでしょう。とりわ…

全共闘という日本の黄金時代

「日本人がデモするなど想像できない」 日本に何年も住んでいる外国人から、こう言われたことが私は一度ならず、あります。日本人は体制に従順で、周りと同じように行動し、ルールはどんな理由があっても守らなければならず、年上や先生や上司への発言は、そ…

国スポ(国体)を東京に固定する提案

前回の記事の続きです。 オリンピックを東京に固定する提案は、国民スポーツ大会(旧称:国民体育大会)を東京に固定する提案を元にしている気がします。国スポ東京固定案は、20年ほど前から、私も何度も聞いています。 国スポを東京に固定すべき最大の理由…

オリンピックを東京に固定する提案

今朝の朝日新聞に「オリンピック開催地を毎回東京にすればいい」との意見が載っていて、「よくぞ言ってくれた」と感心しました。朝日新聞らしくない斬新なアイデアですが、元読売新聞記者で作家の堂場瞬一の意見でした。 この案の最大のメリットは開催費用の…

日本人初の宇宙飛行士が女性だったらよかったのに

日本人初の宇宙飛行士の秋山豊寛を知っている人は、おそらく私同様に40代以上の人でしょう。JAXAが日本中から募集して選んだエリートである毛利衛など3名が日本人初の宇宙飛行士になるはずでした。しかし、1986年のチャレンジャー号爆発事故で、NASAによる日…

始まる前から失敗が約束された公費2兆円以上の半導体事業

今朝の朝日新聞を読んで、笑っていけないと思わないながらも笑ってしまう特集記事がありました。ラピダスとTSMCの新規半導体事業にどちらも1兆円以上も公費が投じられて、失敗するとほぼ断定されている記事です。 私は半導体の専門家ではありませんが、三菱…

「木を見て森を見ず」の失敗

前回の記事の続きです。 「完本福島第一原発メルトダウンまでの五十年」(烏賀陽弘道著、悠人書院)は2021年に発売されていますが、「完本」が前に着かない通常版は2016年に発売されamazonで絶賛されています。 通常版では「テレビ報道のカメラに収録される…

原発事故調査は不十分である

「完本福島第一原発メルトダウンまでの五十年」(烏賀陽弘道著、悠人書院)は2つの意味を持つ本でした。一つは事故調査委員会でも注目されていないECCS(非常用炉心歴薬装置)の重要性を指摘している点です。もう一つは、著者の能力と内面に問題がありすぎ…

運命の五分間はなかった

太平洋戦争は、その名の通り太平洋が主戦場です。海軍が主役となる戦争であり、その海軍の主役は空母(飛行機を発着させる船)、つまり飛行機になりました。これを戦前から最も正しく予想していたのは、敗れた日本の山本五十六連合艦隊司令長官であり、その…