未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

五蘊盛苦

五蘊盛苦という仏教用語を知る人は少ないでしょう。四苦八苦の一つで、「自分の容姿と自分の性格が自分の思い通りにならない苦しみ」という言葉です。「キレイになりたい」と思ってもなれない苦しみ、「明るくなりたい」と思ってもなれない苦しみはどんな人…

なぜ日本人は討論下手なのか

建設的な議論が成り立つには、お互いに社会観、人間観、倫理観、洞察力などがある程度の水準以上でなければならない、と私は考えています。ほとんどの日本人はその水準に達していないように私は思っています。日本人集団だと意見がほぼ一致している時だけ口…

「あらゆる思想の正誤は絶対的に決められない」とは絶対的に決められない

あらゆる思想は、正しいか間違っているかを絶対的に決めることはできません。正しいか間違っているかは人間の価値観で判定されるものであり、価値観である以上、自然科学のような絶対的な答えは存在しません。誰もが知っている当たり前のことです。私の社会…

いじめを語る会を作るべきである

ある年齢以下の日本人なら、学校などで「戦争体験を語る会」に参加させられたことはあるでしょう。戦争体験者(空襲被害者や原爆被害者)の講演を聞く会です。そんな風に「戦争を語る会」があるなら、私は「いじめを語る会」があってもいいと思います。 私の…

いじめ問題の教訓をパワハラ撲滅に活かすべきである

「パワハラを漏らさず把握し、撲滅に専念する公的機関を新設すべきである」に述べた提案の実現は容易でないでしょう。その方法を実行するためには、新規の法律と予算が国会審議にて可決されなければなりません。多くの国民が上記の提案に賛同して、それを実…

パワハラ撲滅がもたらす経済効果

パワハラの撲滅に成功すれば、社会に高い寛容性が浸透して、これまで無職だった者も働けると期待されます。生活保護費支給の約3.8兆円も減額できるでしょう(厚生労働省 2015年 生活保護費負担金事業実績報告参照)。 特に若年無業者、いわゆるニートたちの…

パワハラを漏らさず把握し、撲滅に専念する公的機関を新設すべきである

前回の記事のような問題を生むパワハラ撲滅のため、まず、パワハラの完全把握に向けて、使用者から労働者へのパワハラ報告先の告知義務を提案します。既に雇用している人たちに最低でも毎年1回、新しく雇用する人たちには採用時に、パワハラがあれば相談窓口…

パワハラの現状と日本の生産性の低さ

日本の地方労働局に入る苦情のうち、最多の26.0%はいじめや嫌がらせ、いわゆるパワハラ報告です(厚生労働省労働基準局2014年個別労働紛争解決制度実施状況参照)。厚生労働省の2012年調査では、過去3年以内にパワハラを受けた社員は25.3%となっています(職…

いじめ防止対策推進法

前回の記事の大津中2いじめ自殺事件をうけて、いじめ防止対策推進法が成立しました。文科省による行政対策だけでなく、ついに立法政策まで進んだのです。 これまで、いじめなのか犯罪なのか曖昧な事件がありましたが、それらを包括して、いじめと定義してい…

大津中2いじめ自殺事件

前回の記事の続きです。闇に葬り去られるはずだった大津中2いじめ自殺事件の状況が一変したのは、2012年7月です。既に事件から1年近く経過していたのに、共同通信社の記者が「いじめの練習をさせられていた」情報に、今更ながら「1986年の葬式ごっこ事件」を…

闇に葬り去られたいじめ、非行事件の被害者たち

文科省公表のいじめ件数を見ると、いじめの定義を変えるたびに、いじめ件数が激増して、それから次のいじめ定義の変更までいじめ件数が毎年減少していくサイクルを繰り返しています。こんな文科省のいじめ件数統計があてにならないのは間違いありませんが、1…

いじめ事件、非行事件の被害者を今からでも救うべきである

大河内くん自殺事件の6年後に、またも愛知県で尋常でない恐喝事件が起きます。大河内くん自殺事件では100万円の恐喝でしたが、なんと5000万円の恐喝事件です。100万円が安く感じてしまうくらい被害額が甚大なのに、大河内くん自殺事件と比べると、5000万円恐…

いじめは絶対悪である

私が外国人に、どうして日本でいじめが社会問題となったかを説明するときに、1994年の愛知県大河内くん自殺事件を次のように語っていました。 私「いじめが日本で絶対悪と認識されるようになった事件がある。中学2年生の少年が同級生から暴力を受けて、お金…

いじめ問題の始まり

いじめがマスコミに注目されたのは、1986年の「葬式ごっこ事件」が最初になるでしょう。wikipediaにもある通り、担任教師が、後に自殺する少年の葬式ごっこの寄せ書きを添えていて、自殺後、その行為を生徒たちに口止めするように言っている上、聞き取り調査…

いじめ問題を振り返る

いじめ問題が日本で生じたのは日本のバルブ経済期と重なります。バブル期に日本人は多くの違法あるいは合法の罪を犯していますが、その中でも、いじめ問題は最低最悪の罪だと私は考えています。 文科省調査のいじめ件数は全くあてにならないため私の推測にな…

学歴社会嫌いな私が学歴好きになった理由

私は二度大学を卒業していますが、一度目の大学受験では、二流大学に合格したのに、わざわざ偏差値の低い三流大学に進学しました。 「人を学歴で判断すべきではない。その人の真の知性、内面で判断するべきである」 そんな理念を元にした価値のある決断だと…

観念論でなく教育内容に注目すべきである

日本で「基礎学力教育」と「個性尊重教育」のどちらを重視すべきか、という意味のあまりない議論は耐えることがありません。一長一短であり、どちらも極端すぎるのはいけない、などの当たり前の結論にしか到達しないでしょう。そんな抽象的な観念論よりも、…

保証人制度をなくした場合の金利上昇はいくらなのか

日本社会に非効率な制度は多くありますが、人の流動性を妨げる点で、保証人が異常に浸透した制度は筆頭に挙げられるでしょう。借金をするとき、引っ越しをするとき、入学するとき、入社するときなど、ありとあらゆるときに保証人が必要です。 日本人ほど真面…

日本が国債デフォルトする前に金銭取引を完全公開しておくべき理由

異次元緩和も国債消化には無力に終わりそうなので、日本政府が莫大な国債を本気で消化しようとしたら、1946年以来の預金封鎖をする可能性は十分あるでしょう。悪夢のように膨張した国債を消化させるためには、預金封鎖、新通貨切替、急激なインフレなどの極…

ポピュリスト支持者の本当の敵であるグローバリズムの弊害の解決方法

21世紀の現在、資本主義経済は地球規模で急速に浸透しており、世界中で貧困層が急激に富を得ています。発展途上国から安価な商品が入ってくることで、相対的に賃金の高い国の人たちは職を失っています。このため、多くの先進国で外国人排斥を唱えるポピュリ…

1980年代日本の長所

「国家の富は国民の道徳と教養によって決まる」との考えを持っているため、そう思ってしまう側面はあるでしょうが、世界で日本の存在感が最も大きかった1980年代(世界のGDPに対する日本のGDP比が最も高かった時代と一致しますが)、日本は相対的に他の先進…

共産主義が失敗した思想的理由

共産主義が失敗した一番の理由は計画経済の非効率性にあったと私は確信しています。ただし、他にも理由はいろいろあげられるでしょう。思想的な側面でいえば、本来利益を受けるはずの下層大衆が利益を受けていると理解できなかったことにある、と私は考えて…

言葉は性格である

「英語で話すと、日本語で話すより、言い方が率直になる」 そんなことを感じる人は多くいます。私もその一人です。私はこの現象を「言語によって性格が変わる」と表現しています。 私は日本語を母語としてない300名以上の外国人と日本語で話しています。そこ…

中国人とつきあえない日本人がインド人とつきあえるのか

2000年頃には、いずれインドが人口で中国を追い抜き、中国同様に急激な経済成長を遂げて、21世紀中にアメリカを経済力で上回る大国になることを、私は知っていたように思います。1990年代には「21世紀は中国の時代だ。この波に乗り遅れるな!」という記事を…

好むと好まざると中国経済の影響を受ける日本

中国人が旅行中に高級品を買い漁る「爆買い」という言葉が2015年に流行語大賞をとりました。この「爆買い」のように、日本人が好むと好まざるにかかわらず、いまだ成長の止まらない中国から受ける影響力はしばらく増え続けます。 隣国に経済大国が誕生してい…

21世紀に大戦争が起こる可能性

アラブの春が起こっても、中東での民主化が一気に進むという夢は実現しませんでした。友人のイスラエル人にその理由を聞くと、こんな答えが返ってきました。 「フランス革命後にフランスで一気に民主化が進んだわけではない。独裁者が出たり、王政が復活した…

21世紀を大局的に見る

世界の人口の大部分を占める発展途上国は、20世紀までは後進国と呼ぶのが適切だったのでしょうが、現在は文字通りに爆発的に発展しています。産業革命の恩恵を一気に獲得している人たちが地球規模で何十億もいるのと対照的に、先進国の発展は停滞しています…

変化のスピードが恐ろしく遅い時代

18世紀末に始まった産業革命は有史以来最高の急激な変化を世界中にもたらしています。いち早く産業革命を達成した一部の国家群は20世紀まで、良くも悪くも世界全体を動かしていました。ついに21世紀には先進国だけでなく、世界中のほぼ全ての国に産業革命の…

最低な日本人の国際感覚

「アジアを見下して、西洋を尊敬する」のは最低な日本人の国際感覚でしょう。一方で、多くの日本人が持っている感覚でもあります。 私はそれと反対の国際感覚を持つべきだと長年考えていました。今でも「アジアに敬意を払うべきだが、西洋に敬意を払う必要は…

日本人の美徳は国際的にも美徳である

前回の記事の続きです。 謙虚さが西洋でも通用するように、英語に敬語はありませんが、相手に敬意を示す表現は世界中のどの言語にもあります。当然、教養の高いカナダ人も頻繁に丁寧な表現を使っていますし、品のないカナダ人はスラング(俗語)ばかり使いま…

「西洋で謙遜は通用しない」は嘘である

外国人「あなたの英語は素晴らしいですね!」 日本人「いえいえ、私の英語なんて完璧からは程遠いです」 これは日本人(と韓国人)がよくするコミュニケーション失敗例です。西洋では、褒められた場合にまず感謝の言葉を伝えるのが礼儀なのに、感謝するどこ…

文化大革命と西洋人への皮肉

「青年たちよ。今こそ、我々の理想を実現する時だ。地方の農村に行って、文革を盛大に実践せよ」 そのような指示が中国共産党指導部から出ると、若者たちは我先に、意気揚々と、なんの迷いもなく都会から田舎へ向かって行った。そこで若者たちは自分のたちの…

メラビアンの法則

「話し相手の印象は、55%は外見から、38%は話し方から、7%は話す内容からで決まる」 正確には違いますが、私はメラビアンの法則を上のように語っていました。「話し方」を「性格」、「話す内容」を「内面」とも呼んでいました。 メラビアンの法則は限定され…

日本人が陥りやすい間違った討論法

前回の記事の続きです。 失敗例1:「私はAだと思う」「いや、私はAでないと思う」「なにを言うかAだ」「絶対Aじゃない」「A以外ありえない」「Aこそ考えられない」…… これを繰り返していては、イタチごっこになってしまいます。「なぜAと思うか」あるいは「…

西洋式討論術

日本と西洋の教育で大きく違うところはいろいろありますが、ここでは討論に注目します。日本の学校では討論なんてほとんど行いませんが、西洋の学校では毎日討論しているみたいです。また、次の記事で取り上げるように、日本での討論は、政治家の討論を含め…

日本人が開明思想を持っていれば幕末・維新の悲劇は少なかったはずである

「幕末の動乱は不可避だったのか」で書いた結論とほぼ同じですが、別の視点から考えます。日本人の多くが開明思想を持っていれば、アメリカと不平等条約を結ぶことはなかったでしょう。また、かりに結んだとしても、維新期の最初に、つまり岩倉使節団派遣の…

岩倉外交が不平等条約を改正できなかった理由

岩倉使節団が不平等条約改正を達成できなかったのは、その目的意識が薄かったことにあります。留守政府も岩倉使節団も不平等条約を改正する意志が強くなかったのです。より正確にいえば、強かった者もいたようですが、改正など不可能と諦めている連中に負け…

アメリカは不平等条約の締結を目的としていなかった

上記タイトルは、幕末外交について私が最も主張したいことで、事実であれば、幕末・明治の歴史家や外交研究者はもっと注目すべきであり、場合によっては、教科書に記載してもいいと思います。 「日本開国史(石川孝著、吉川弘文館)」によると、ペリーが日本…

西洋人は政治や宗教の話が大好きである

「政治や宗教の話をしてはいけない」という忠告があります。カナダでは、日本以上にその言葉をよく聞いたように思います。実態は、カナダ人は政治や宗教の話が大好きでした。カナダ人に限らず、私の知り合いで教養のある西洋人は、政治や宗教の話ばかりして…

西洋における人権の尊重

カナダにいて最も驚いたことの一つに、自由や平等といった基本的人権が非常に尊重されていることがあります。「国家権力に対して個人の力は小さいので、憲法が個人に与えた力が基本的人権だ」という説を、日本の法学教養本で読んだ記憶があるのですが、私の…

「西洋人はyesとnoをはっきりさせる」はウソである

北米もヨーロッパも、日本と比べると多民族多文化国家であり、お互いに察することができないため、自分の意見をはっきり伝える必要があります。ただし、「あんたなんか嫌い」「あなたは間違っている」「なに言っているか分からない」なんて言えば、相手の感…

カナダ人の寛容性と生産性の相関関係

私がバンクーバーに住んでいた時、市長選挙では麻薬中毒者対策がいつも争点になると知りました。選挙戦では「どうやって麻薬中毒者を取り締まるか」と論ずる候補者はいなくて、どの候補者も「どうやって麻薬中毒者を救うか」と論じています。カナダ人にとっ…

国家の富は国民の道徳と教養によって決まる

私がカナダに長期留学していて、いつも疑問に感じていることがありました。 「カナダ人はこんなに怠け者なのに、なぜ日本人より一人当たりGDPが大きいのだろう?」 また、中国に住んでいた頃に、こんな疑問を感じていました。 「上海は東京並みに商品が豊富…

人間は無意識に自分の過去を肯定する

「徴兵制は国民に戦争への肯定感を与えるので反対だ」 私が友人のユダヤ人に言った言葉です。その意見に、徴兵制のあるイスラエル出身の彼が反対しました。 「徴兵制は国民を戦争嫌いにさせる要素もある。徴兵を楽しみにしている奴なんて、まずいなかった。…

日本で革新的でも西洋では保守的である

日本史をある程度勉強した方なら、天皇機関説を唱えた美濃部達吉は知っているでしょう。どの日本の文献で調べてもらっても、美濃部は非常にリベラルな人物、場合によっては急進的と評してもいい人物として記述されていると推測します。だから、アメリカでピ…

私が日本の最も嫌いなところ

私の人間観の一番の柱は「人間は皆同じ」です。これは私が22才の頃に到達した概念で、それ以降、どんな国のどんな人に会っても、この概念が間違っていると思ったことはありません。 聖人も犯罪者も、大金持ちも浮浪者も、大学教授も知的障碍者も、人間は本来…

ソマリランドでの新しい政治制度

「謎の独立国家ソマリランド」(高野秀行著、本の雑誌社)に、国連にも認められていないソマリランドで実施されている珍しい政治制度が書かれていました。「政党を三つに限る」という制度です。ソマリランドは氏族社会であるため、政党の数を限らないと分家…

なぜ岩倉使節団は不平等条約を改正できなかったのか

日米修好通商条約が不平等条約であることは、遅くとも大政奉還が行われた1867年には日本でも周知の事実でした。この頃には、国際貿易や国際法に無知により、日本がアメリカにまんまと騙されたことに気づいていたのです。 不平等条約を結んだ政権を倒して、新…

ハリスを好きになったバカな日本人

有名な不平等条約の日米修好通商条約はハリスによって結ばれました。(余談になりますが、正確にいえば、この時に不平等な領事裁判権が認められたのではなく、それ以前にハリスと下田奉行の間で領事裁判権は認められています。その前に、オランダ使節と長崎…

日米和親条約にある不平等条項

これも日本開国史(石井孝著 吉川弘文館)によって始めて知ったことですが、日米修好通商条約だけでなく、日米和親条約も不平等条約でした。日米和親条約に治外法権が一部認められうることもそうなのですが、今回注目したいのは片務的最恵国待遇条項が入って…