未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

密約は条約ではない

「知ってはいけない」(矢部宏治著、講談社現代新書)は現状の日米外交の根本的な欠陥を赤裸々に示してくれた素晴らしい本です。ただし、疑問点もあります。「密約でも、国際法である以上、必ず守らなければならない。それは世界の常識である」と断定してい…

ウルグアイラウンドとTPP交渉に見る日米外交の根本的な違い

「亡国の密約」(山田優著、石井勇人著、新潮社)を読んでいると、日本とアメリカでの外交の質的な違いが嫌でも分かります。70年前の日本の独裁者、マッカーサーの言葉を借りれば、アメリカが大人の交渉をしているのに対して、日本は「like a boy of twelve…

日本は幕末外交の失敗を150年間も繰り返し続けている

「知ってはいけない2」(矢部宏治著、講談社現代新書)には、こんな文章が出てきます。 「米国の外交はアメフト型。プレイヤーはフォーメーションに従い陣形を組み、バックヤードでは多くのスタッフが過去のデータを徹底分析し、最善の1手を指示する。一方…

日本は今も不平等条約を結んでいる

「知ってはいけない」(矢部宏治著、講談社現代新書)を先月読んで、茫然としてしまいました。著者は立花隆を尊敬しているようですが、その立花隆の全ての本をこの一冊で凌駕しているのではないでしょうか。日本の主権が米軍に蹂躙されていること、あるいは…

日本政治がオープンになるために

山口敬之という元TBSの総理番(総理大臣担当記者)いました。山口は安倍晋三のお気に入りの記者で、第一次と第二次の安倍政権時、他の会社の記者だけでなく安倍の公設秘書たちも人払いさせた後に、独自の情報を何度も安倍から伝えられています。しかも、その…

日本人は昔の中国を見ている

「日本人が知らない中国セレブ消費」(袁静著、日経プレミアシリーズ)を読んで、私の中国知識を広めるとともに、こんな中国の基本情報を紹介する本がいまだ日本で必要なことを残念に思いました。「中国人は冷めた料理を食べない」は、「中国の実態は誰も知…

いつの間に日本はこんな残念な国になったのか

前回の記事の続きです。 中国が日本を追い抜いたもう一つの点は、街中カメラの設置台数です。これにより誰がどこの場所にいるのか瞬時に把握できます。残念なのは、それを報道している日本の記事が次のような切り口になっていることです。 正確な統計はない…

日進月歩の中国と10年1日の日本

ここ最近の中国について情報収集していると、中国が日進月歩で変化しているのに、日本が10年1日のように停滞していることに意気消沈してしまいます。なにより残念なのは、ほぼ全ての日本人がそのことに危機感を全く持っておらず、未だに先進国気分で中国を見…

wetな人間関係からdryな人間関係へ

前回の記事と関連します。 「生きる職場」(武藤北斗著、イースト・プレス)の職場の人間関係の見識には共感します。 著者は職場の理想的な人間関係は「笑顔の溢れる状態ではない」と何度も強調しています。朝礼でハイタッチのような儀式を否定していますし…

やってダメなら元に戻す

「生きる職場」(武藤北斗著、イースト・プレス)は興味深い本でした。 「好きな日に好きな時間帯に出勤できる」「嫌いな仕事はしない」などのルールが注目されるでしょうが、むしろ著者の職場観について私は同意します。 仕事からの喜びやストレスは、仕事…

日本史上最低の人物・辻政信

日本史上最低の人物という概念自体、多くの人は持っていないでしょう。私も辻政信を知るまでは、そうでした。しかし、辻政信を知ってからは、「コイツは正真正銘の日本の歴史上最低最悪の奴だ」と考えて、それが間違っていると思ったことは10年以上ありませ…

新結婚制度

私「パックス制度を採用すれば、未婚化と少子化を防げるかもしれない」 A「パックスの意味が分からない。どちらかの意思だけでパックスを一方的にやめられるなら交際でいいじゃない」 私「でも、子どもができたら交際のままだとマズいよ」 A「子どもができた…

公的交際ネット制度

「結婚のない社会の弊害」にも書きましたが、自由恋愛の規制として結婚制度は必要です。西洋では結婚以外の規制、たとえば民事連帯契約(PACS=パックス)があります(よく誤解されているようですが、パックスは事実婚ではありません。西洋でも事実婚は事実…

5万円でブラック企業を辞められる!

今朝の朝日新聞を読んで驚愕したので、ここにも書いておきます。わずか5万円でパワハラ上司とオサラバできる素晴らしい仕事が現代日本に存在していました。こちらからは会社側に一切連絡することなく、次の日から職場に行かなくていい、という涙が出るほど嬉…

ルールの存在意義を日本人は考えるべきである

私「なぜいけないんですか?」 相手「そういうルールだからです」 私「でも、そのルールは〇〇のためですよね。この場合、〇〇ではないんですから、いいじゃないですか」 相手「……。ルールには従ってください」 前回の記事にも書きましたが、こんな経験は日…

融通をきかせられない事務仕事ならコンピュータ化すべきである

本籍制度は即刻廃止してください。マイナンバーがある今、本籍の存在意義など全くなく、無駄な手続きが増えるだけです。 先日、私は結婚したため、本籍地が変更になりました。いくつかの私の資格証には本籍地が記載されていたらしく、いちいち変更する必要が…

なぜ情報に振り回されるのか

このブログでも何度も指摘していることですが、日本人は大卒でも科学的思考が確立されていない人が少なくありません。だから、福島で原発事故が起こった時でも、怪しい情報に流されて軽挙妄動に走った人が少なくありませんでした。当時の公的情報に多くの間…

帝王切開で不妊が増える

タイトルの知識は医療者なら当然持っているものだと私は思っていましたが、「そんなことはない」と否定する産科医がいて、唖然としました。産科看護師はもちろん、助産師すらも知らない人ばかりで、愕然としました。こちらのガイドラインにある通り、帝王切…

葬送の自由

「これからの死に方」(橳島次郎著、平凡社新書)は私の蒙を啓いてくれた本でした。何ヶ月かに一度、こういった本に出会えます。「浮浪児1945を読んで」にも書いたように、このような日本語の本の存在が(日本も捨てたものではない)と私に希望を与えてくれ…

根拠に基づく政策立案(EBPM)

ついに内閣府のHPにも証拠に基づく政策立案(Evidence Based Policy Making)という言葉が載ることになりました。日本の政治ではこれまで個別の観念や経験を元に不毛な議論を無数に繰り返してきました。これからの日本は、いくつもの価値ある統計がネット上…

環境問題と教養

今朝の朝日新聞のオピニオン&フォーラムの記事は興味深い内容でした。昨年、九州電力管内で太陽光発電業者らに出力抑制が出され、「原発の稼働を止めずに、再生可能エネルギーの出力を抑制するとはなにごとか」と朝日新聞を含む多くのメディアが批判的に報…

2019年ではID代わりに住所を記入している

タイトルを読んで「令和のはじめの頃はまだ『住所』を書かせていた時代か」と思うのは、あと何年後でしょうか。 私は先日引っ越したので、市役所に転入届を提出してきました。たかがそれだけなのに3時間もかかりました。医者の仕事もAIに置き換わると本気で…

抗がん剤治療の費用対効果

ホスピスとも呼ばれる緩和ケア病棟が日本では保険適用されています。入院費用は5万円/日、入院期間は1ヶ月までになります。「日本のリハビリテーションに欠けているもの」に示した通り、急性期の入院費用の3万8千円/日よりも高額です。緩和ケア病棟に1ヶ月い…

健康的な食事と医学

「ビタミンCは風邪を治す」との仮説があります。ビタミンCを入れた試験管内で、免疫細胞が活性化していることが、この説の根拠です。 しかし、この論文にあるように、風邪にかかってからビタミンCを摂取しても効果はありません。ビタミンCを毎日1~2g摂取し…

高齢者が増えたからといって医療費が増えるとは限らない

高齢者が増えると、医療費が増えると多くの人は考えています。長年、私もこれを疑ったことがありませんでした。しかし、それは必ずしも正しくないはずです。高齢まで生きようが、生きまいが、人間は必ず死に、死ぬ前には病気になります。高齢者には申し訳あ…

なぜ歯科の保険診療総額は増えないのか

歯科医師の数は右肩上がりです。 日本で医師の数が約30万人ですから、歯科医師数約10万は多すぎです。誰だって歯科医師数を制限したくなります。だから、かつて90%合格が当たり前だった歯科医師国家試験の合格率を70%程度まで低くして、新しく歯科医になる…

日本のリハビリテーションに欠けているもの

日本の一般入院施設は2016年で、高度急性期が約17万床、急性期が約54万床、回復期が約13万床、慢性期が約34万床になります(他に精神病床などもありますが、今回は扱いません)。大まかな入院期間は高度急性期病棟で数日間まで、急性期病棟で14日間まで、回…

高齢者が肺炎で入院すれば寿命が短くなる

高齢者が発熱で苦しんでいると、家にいても施設にいても、誰かがその高齢者を病院に連れてきます。もし肺炎だと分かると、ほぼ自答的に入院になります。高齢者だと誤嚥性肺炎の可能性が高いので、入院初期は絶食とされます。食事をして、また誤嚥したら、肺…

健康的な食事は未解明だが、健康の最大の要因は食事に違いない

何年か前に書店で「長生きしたければ肉食をやめろ」という本の隣に「健康になりたければ肉食をしよう」という本を見つけたことがあります。どちらも正しくもあり、間違ってもいます。 日本の高齢者には5剤以上の薬を併用する方が過半数いますが、5剤以上の薬…

ベーシックインカムよりも人的支援を充実させるべきである

昨日出会った70才の女性です。大腿骨頸部骨折後に手術した患者さんでした。子ども時代にいじめにあったため、ろくに小学校も行っていなかったそうです。年齢からして日本国憲法下の時代に育っているので、憲法違反です。親はどうしていたのか、と思いますが…